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レトロな木造駅舎の残る、歴史ある温泉地の終着駅 上田電鉄別所線 別所温泉駅(長野県上田市)

清水要鉄道ライター

上田電鉄別所線は長野県上田市の上田駅と別所温泉駅を結ぶ11.6キロメートル15駅のローカル線だ。途中の中塩田駅と終点の別所温泉駅にはレトロな木造駅舎が残されている。この記事では別所温泉駅を紹介しよう。

別所温泉駅
別所温泉駅

別所温泉駅はその名の通り、別所温泉の玄関口だ。別所温泉は日本武尊が東征の折に発見したとの伝説も残る古い温泉地で、信州最古の温泉とされる。平安時代には木曽義仲、鎌倉時代には北条氏、戦国時代には真田氏がその湯で疲れを癒した。別所温泉のある塩田平は北条氏との縁が深く、寺社仏閣が多いことから「信州の鎌倉」とも呼ばれる。

昔ながらの看板も姿を留める
昔ながらの看板も姿を留める

別所温泉駅は、大正10(1921)年6月17日に「別所」として開業。大正13(1924)年11月22日に「信濃別所」に改称し、昭和5(1930)年1月19日に現在の駅名になった。当時の所在地は小県郡別所村で、昭和31(1956)年5月1日の合併で塩田町となっている。駅名に「温泉」がつく駅名というのは、ここ数十年で改称された例が多いが、別所温泉駅の場合は「温泉駅」となってから既に90年以上の歳月を経ている。

駅舎内の待合室
駅舎内の待合室

駅舎は昭和25(1950)年6月に改築されたものだ。モルタル塗りの洋風デザインで、窓枠や天井などの木製部分は爽やかなミントグリーンに塗られている。令和4(2022)年4月1日より無人駅となってしまったが、内部には観光協会が入居しているので、人の気配は感じられる。

丸窓電車
丸窓電車

駅舎の裏手には別所線で長く活躍した「丸窓電車」モハ5250が保存されている。昭和3(1928)年5月に製造され、昭和61(1986)年10月1日まで58年の長きにわたって活躍した別所線のシンボル的存在だ。現在、別所線で活躍する電車にも丸窓は再現されている。

別所温泉駅 ホーム
別所温泉駅 ホーム

北陸新幹線も停まる上田駅からローカル線で約三十分。歴史ある温泉地を訪ねるついでにレトロな木造駅舎の終着駅を訪ねてみるのはいかがだろうか。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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