Yahoo!ニュース

8月から建て替え!古き良き駅の姿を留める木造駅舎 成田線我孫子支線 下総松崎駅(千葉県成田市)

清水要鉄道ライター
下総松崎駅

東京の近くにありながらも比較的多くの木造駅舎が残っている千葉県。我孫子(あびこ)と成田を結ぶ成田線我孫子支線でも安食(あじき)駅と下総松崎(しもうさまんざき)駅に木造駅舎が残されている。成田線我孫子支線は21世紀になってから駅舎の改築が進んだ線区で、平成20(2008)年12月16日に木下(きおろし)駅、平成26(2014)年11月9日に小林駅、平成28(2016)年6月26日に新木(あらき)駅が橋上化されている。そして、この度下総松崎駅も改築されることになった。

駅舎
駅舎

下総松崎駅は明治34(1901)年8月10日、成田鉄道の「松崎(まんざき)」駅として開業。当時の所在地は印旛郡八生村(はぶむら)で、駅名は明治の町村制による八生村成立まで存在した下埴生郡松崎村に由来する。ただし、駅があるのは松崎村に隣接する大竹村の村域だ。かつての松崎村にあたる地域には現在、京成成田空港線の成田湯川駅がある。成田湯川駅から北に行った辺りが八生村のかつての中心だ。

駅舎と大木
駅舎と大木

成田鉄道は大正9(1920)年9月1日に国有化。その際、松崎駅は国名の「下総」を冠して「下総松崎」に改称された。鳥取県にある山陰本線の「松崎」駅との混同を防ぐための措置だろう。ちなみに福岡県にある甘木鉄道甘木線の「松崎」駅は国鉄時代は「筑後松崎」だった。

駅舎は築年不詳だが古い木造駅舎で、国鉄の標準設計駅舎と比べると入口の開口部が狭いように思える。もし開業時のものであれば今年で築113年だが、実際のところはどうなのだろう。駅舎の前にはこれまた歴史を重ねてそうな大木があって画になる光景だ。

駅舎内
駅舎内

令和4(2022)年度の一日平均乗車人員は525人と、お世辞にも利用者が多いとは言えないローカル駅だが、令和6(2024)年3月11日まで窓口が営業していた。翌3月12日からは遠隔管理の無人駅となり、改札口に駅員さんが立つ古き良き駅の姿も過去のものとなっている。無人駅となってからの改築なので、新駅舎は簡素なものになることが予想される。

改札口
改札口

改札口の隣には国鉄式の駅名標が設置されている。かつては2番線待合室にも同じものが掲げられていたが、平成31(2019)年の2月~3月頃に撤去されたようだ。駅舎に掲げられたものも改築に合わせて撤去されるかもしれない。

駅構内
駅構内

構内は相対式2面2線。駅舎側の1番線が成田方面、反対側の2番線が我孫子・上野方面のホームとなっている。ホームに屋根はなく、ローカル駅らしい雰囲気だが、上野駅を起終点とする常磐線直通の10両編成の列車もやってくる。

ホーム
ホーム

駅舎とホームの間には階段二段分の段差があるが、これはホームの嵩上げにより生じたものだ。バリアフリーの観点から見ると問題があるが、駅舎の改築に合わせて解消されるに違いない。2番ホーム上の待合室は昭和48(1973)年11月25日設置で、駅舎に比べれば新しいものの、築半世紀を超えている。

駅前通り
駅前通り

今年の8月1日から来年の3月31日までの期間で駅舎の改築が行われる下総松崎駅。新駅舎のデザインなどは公表されていないが、設計は浜田晶則建築設計事務所が担当するそうだ。下総松崎駅の建て替えにより、我孫子支線に残る木造駅舎は安食駅のみとなるが、こちらも建て替えが検討されているため、今のうちに記録しておいた方がよいだろう。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

清水要の最近の記事