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現在4回連続制覇中! 藤井聡太二冠(19)タイトル戦初登場以来の連続制覇記録はどこまで伸びるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 藤井聡太王位・棋聖(19歳)はこれまでに4回のタイトル戦番勝負を戦い終えています。そして驚くべきことに、そのすべてを制覇しています。

 藤井二冠は9月13日、叡王戦五番勝負第5局を戦います。

 叡王戦も制すればタイトル戦初登場以来5回連続制覇。戦後にそうした例はすでにありません。

 しいて比較するとすれば、戦前から終戦後まで無敵を誇り、名人戦で第1期から第5期までを連覇した木村義雄14世名人(1905-81)の名を挙げることになります。

 将棋界の現代的なタイトル戦は1935年創設の実力制名人戦からはじまります。実力制初代名人に就いたのは「無敵将軍」とも称される木村名人でした。木村名人は第1期から第5期までを連続で制しています。

 木村名人の全盛期は戦争期にも重なります。当時唯一のタイトル戦であった名人戦は第4期、第5期とイレギュラーな形式になり、七番勝負は開催されませんでした。言うまでもないことですが当時の状況と、戦後の棋界隆盛期、さらには8つのタイトル戦が開催される現代を単純に比較することはできません。

 とはいえ、藤井二冠の記録を評価するためには、そうした歴史上の伝説の棋士の名前まで引っ張ってくる必要がある、ということになりそうです。

 木村名人から藤井二冠まで、将棋界では45人のタイトルホルダーが誕生しました。それぞれの棋士が初回登場から7回目までどのような戦績が残されているのか。表が大きくなるので、登場順に3つに分けて表示してみます。

 初めてのタイトル戦登場でタイトルを獲得した棋士はわずか15人しかいません。大山康晴15世名人、中原誠16世名人といった大棋士も、最初のタイトル戦番勝負登場の際には敗れています。

 さらに2回目の番勝負でも勝った棋士は15人中わずかに5人です。

 谷川浩司九段は名人位、藤井猛九段は竜王位をタイトル戦初登場で獲得し、連覇しています。

 羽生善治九段は19歳で竜王位を獲得したあと、20歳での防衛戦では敗れています。

 こうして改めて見てみても、藤井現二冠のタイトル戦登場以来の4回連続番勝負制覇は驚くべき記録です。

 2016年に史上最年少14歳の藤井四段が現れる以前。将棋界のデビュー以来の連勝記録は10でした。それを藤井四段は29へと更新しています。これはいまもってなお、信じられないような大記録です。

 将棋界の偉大な記録を次々と更新し続ける藤井二冠。タイトル戦の番勝負においてもまた、今後どれだけの記録を作っていくのでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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