Yahoo!ニュース

今週末は師走とは思えない暖かさで、東京でも最高気温が20度の予想

饒村曜気象予報士
タイトル画像 南岸低気圧に伴う雨雲と地上低気圧(12月5日21時)

南岸低気圧の通過

 令和5年(2023年)12月5日は、日本の南岸を低気圧が進む影響で全国的に雲が多くなり、西日本では太平洋側を中心に雨が降りました(タイトル画像)。

 渇水状態が続いている西日本ですが、発達した雨雲は海上が中心となるため、渇水を解消するまとまった雨量にはならず、引き続き、水や農作物の管理に注意が必要です。

 東海や関東は夕方以降、にわか雨となり、北日本では一時的に雨や雪の降る所があって気温が上がらず寒い一日となりました。

 非常に寒く感じられた方も多かったと思いますが、これまでが異常に暑かったためで、これで平年並みです。

 全国で最低気温が0度未満の冬日を観測した地点は、前日、前々日よりは少し少ない370地点(全国で気温を観測している914地点の約40パーセント)でした(図1)。

図1 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~12月5日)
図1 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~12月5日)

 令和5年(2023年)は、9月20日に最高気温が30度以上という真夏日が全国で224地点(気温を観測している914地点の約25パーセント)となるなど、記録的な残暑が続いていましたが、10月に入ると、真夏日はほとんど観測されなくなりました。

 また、最高気温が25度以上という夏日は、11月に入っても多くの地点で観測される日がありましたが、11月6日に303地点(約33パーセント)を観測したのを最後に、急減しています。

 変わって、強い寒気が周期的に南下してきたことに対応し、11月11日~16日、24日~27日には冬日が急増しています。

 そして、11月29日以降の寒気南下で冬日が増加していたのですが、今週は、様変わりしそうです。

今週の天気予報

 12月5日に雨をもたらした南岸低気圧は、発達しながら日本の東海上に去り、その後、大陸からの高気圧に覆われてくる見込みです。

 そして、黄海に発生した低気圧が発達しながら日本海北部へ進む見込みです(図2)。

図2 予想天気図(左は12月6日9時、右は7日9時の予想)
図2 予想天気図(左は12月6日9時、右は7日9時の予想)

 このため、日本海北部の低気圧に向かって暖気が北上し、各地で週末に向けて平年よりかなり気温が高くなり、今週末には師走とは思えない暖かさとなる所がでてくる見込みです。

 各地の週間天気予報を見ると、日本海北部の低気圧が通過した北日本から東北北部は寒気が南下して気温が下がりますが、その他の地方では寒気が南下してこない見込みで、この時季としては高い気温となる見込みです(図3)。

図3 各地の週間天気予報(数字は最高気温)
図3 各地の週間天気予報(数字は最高気温)

東京で12月に最高気温20度

 東京では、12月9日(土)と10日(日)の最高気温の予想が20度となっていますが、明治8年(1875年)の観測開始以来、昨年までの148年間の12月4588日のうち、最高気温が20度を超えたのは33日しかありません(全体の約0.7パーセント)。

 しかも、12月に20度を複数回超えたのは、明治23年(1890年)の3日と、平成30年(2018年)の2年しかありません。

 東京の12月の日最高気温の記録は、平成16年(2004年)12月5日の24.8度です。あとわずかで、12月の夏日となるところでした(表)。

表 東京の12月の日最高気温の記録
表 東京の12月の日最高気温の記録

 12月の日最高気温のランキングを見ると、上位は平成時代が独占しています。

 また、12月に日最高気温が20度以上になった日数をみると、明治8年(1875年)~明治33年(1900年)の26年間で7日、明治34年(1901年)からの25年間で1日、昭和元年(1926年)からの25年間で3日、昭和26年(1951年)からの25年間で6日、昭和51年(1976年)からの25年間で8日、平成元年(2001年)からの22年間で8日となっています。

 近年、東京の12月が暖かくなってきていますが、明治時代中期も意外と暖かかったのです。

タイトル画像、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事