またしても 台風26号に続き27号もフィリピンに上陸
一週間前に上陸した台風26号の爪痕が残るフィリピンに、再び別の台風が猛威を振るっています。
22日未明、台風27号(国際名:てんびん)が南部ミンダナオ島に上陸しました。上陸直後の中心気圧は990hPa、最大風速は30メートルで、上陸直前に発達をしたもようです。フィリピンの年平均上陸数6〜9個ですが、今年はこれで7つ目となります。
27号は23日(土)未明にかけてミンダナオ島を通過し、24日(日)にはリゾート地で有名なパラワン島に最接近する見込みです。その後南シナ海で再発達をし、来週26日(火)にはベトナム及びカンボジアに再上陸するおそれがあります。
台風26号の爪痕
フィリピンでは、26号の大雨により地盤が緩んでいるところがあり、土砂崩れの危険が一層高まっています。
26号は動きの遅い台風であったために、台風の中心が通過したフィリピン・サマール島では1,067ミリの大雨を観測しました。洪水や土砂崩れによって、少なくとも41人が亡くなったと伝えられています。
なお台風26号は、22日(金)朝に熱帯低気圧に変わりました。
12月の台風はフィリピンにとっては特段珍しいことではなく、この時期には特に中部や南部に台風が上陸することがあります。去年もちょうどクリスマスに台風26号が上陸をし、大きな被害を出しました。
赤道付近の台風
今回の台風で特筆すべきは、その場所です。27号は北緯7度付近に位置しています。
台風は空気の渦の塊ですが、一般的にこうした渦が生まれるのは「コリオリの力」と呼ばれる地球の回転力が働く、緯度5度以北または以南の場所とされています。赤道に近いと渦が成長しにくいので、台風が発生しづらいのです。つまり27号は、台風が成長しうるとされるぎりぎりの範囲で発生していることがわかります。
しかし、過去にはこの掟を破る台風も発生しています。
2001年12月26日には、台風26号が北緯1.5度と、赤道からわずか150キロの位置で発生しました。さすがに寿命は18日と短命であったものの、マレー半島に上陸をし、マレーシアやシンガポールに大きな被害をもたらしました。Naval Postgraduate Schoolの研究によると、こうした赤道付近の台風の出現確率は100年から400年に一度くらいのことのようです。