中国船4隻が今年初の尖閣領海侵入 中国海警局による毎月1回の“アリバイ作り”的ポーズの一時侵入か #専門家のまとめ
8日午前10時ごろから、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで一時侵入した。中国公船が尖閣周辺で領海侵入したのは昨年12月6日以来で、今年初めて。昨年1年間を振り返れば、中国海警局の船が尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で確認された日数は1年366日のうち355日に上り、3年連続で過去最多を更新した。また、昨年は中国公船による尖閣領海侵入(沿岸から約22キロ)の日数が42日に上り、過去2番目に多かった。毎月1回のペースで4隻がアリバイ作り的に尖閣領海に侵入している。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
海上保安庁によると、中国海警局の船は1年365日のうち、ほぼ毎日尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺を航行している。かつては台風など悪天候時は航行を避けることがあったが、近年は船が大型化し、天候に左右されずに航行できるようになっている。また、尖閣沖に派遣される中国海警局の船は通常4隻の船団だが、昨年6月以降はその4隻全てに機関砲が搭載されるようになった。「力は正義なり」とも言える強引な手法で尖閣接近を常態化させ、尖閣の実効支配を徐々に狙う中国の「サラミ戦術」だと言える。
また、かつては中国公船が尖閣領海内に侵入するのは、そこで操業中の日本漁船に接近して追尾するなど、あたかも自国の領海内であるかのような法執行の動きだった。しかし、ここ1年間はたとえ日本漁船が領海で操業していなくても毎月1回のペースで4隻が領海に侵入するようになっている。
中国の習近平国家主席は内政的に海洋権益をアピールし、国内世論に対して領土ナショナリズムをうまく利用して中国共産党の権力維持を図っている。中国海警局はそれに忖度して主権維持の“アリバイ作り”的ポーズで定期的に尖閣諸島沖をかすめるように領海侵入を図っているとみられる。