ついに本日公開! 『ロッキー』シリーズの続編『クリード 炎の宿敵』
ロッキー・バルボアがロードワークの際に駆け上がっていたフィラデルフィア美術館の階段は今日、観光名所となっている。
その階段脇には、シリーズ3作目に登場したロッキーの銅像が佇んでいる。
20年ほど前のことになるが、ロッキー像を見詰めながら、実在の元ヘビー級チャンプ、ティム・ウィザスプーンは言った。
「いいよな、作り話は気楽で。ボクサーの本当の哀しみや苦しみなんて何も伝わって来ないぜ…」
いつも陽気で笑顔を絶やさず、子煩悩な男の寂し気な表情に息を呑んだ。この時、私は「彼の話をどうしても書かねば」と思ったものだ(10年を費やし、仕上げたのが『マイノリティーの拳』である)。ティムはファイトマネーのおよそ90%を悪徳プロモーターに搾取され続けた。法廷闘争に踏み切り、そこそこの和解金を得るが蕩尽してしまい、子供を養うために45歳までリングに上がった。引退後はトレーナーとして活動中だ。
息子であるティム・ウィザスプーン・ジュニアもプロボクサーとなった。10勝5敗1分けで引退し、現在はフィラデルフィア市内でボクシング&フィットネスジムを経営している。
数日前に61歳になったばかりの父親へ電話すると、元気そうな声だった。「CREED IIは見ていない」そうだ。1年の4分の一くらいイングランドに滞在し、トレーナーとして収入を得ているよ、と笑った。
ジュニアも語った。
「映画ではあるけれど『CREED II』も子供の代になったね。僕ももう34歳。2018年4月27日にジムをオープンして、必死にやっているところ。子育ての大変さも理解している。本当に父には感謝しかないね」
『CREED II(邦題:クリード 炎の宿敵)』は、家族愛をテーマとしている。スクリーンを目にしながら、ウィザスプーン親子の姿が何度も蘇った。