Yahoo!ニュース

ボブ・アラムが期待を掛ける20歳のサウスポーがデビュー以来5連勝

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Mikey Williams/Top Rank

 2024年4月のデビュー以来、今年5戦目とハイペースで試合をこなすスーパーフライ級の新星、スティーブン・ナバーロがガブリエル・ベルナルディ戦を迎えた。

 トップランクが期待を掛ける20歳のナバーロは、ゴングの時点で4戦全勝3KO。一方、28歳のプエルトリカン、ベルナルディは7勝(3KO)1敗という戦績だった。両者は6回戦で対峙した。

 全米アマチュアチャンピオンに13回輝いたナバーロは、身長168センチのサウスポー。序盤はシャープなジャブとストレートが光ったが、どのパンチでも倒せるのが持ち味だ。プロデビュー戦の驚異的なKO勝利がボブ・アラムの眼鏡にかない、今年6月の第2戦よりトップランクと契約して戦っている。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 契約時、アラムは言った。

「スティーブンは偉大なボクシング一家に生まれた。並外れた才能を持ち、世界チャンピオンになる為のあらゆる要素を備えている。彼のプロとしての旅がどのように展開していくのか楽しみだ」

 父、叔父、そして父の従兄弟たちもボクサーで、9歳からアマチュアの試合に出場しているナバーロは語る。

「世界チャンピオンへの道はまだ始まったばかり。とにかくハードワークし、世界に自分を示していく。その準備は万端だ。スーパーフライ級で世界タイトルを獲るつもり。トップランクは、僕の才能を発揮するのに最適なプロモーターだと信じている」

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 ベルナルディ戦のナバーロは、初回、色々な角度からジャブを放ち、左ストレートをぶち込むタイミングを図る。またロングの左アッパーも見舞っていった。相手のパンチの軌道を頭に入れたナバーロは、第2ラウンドに入るといきなりの左ストレート、飛び込んでの左フックを連発して見舞う。その後、カウンターの右フックをヒットしてダウンを奪った。カウント8でベルナルディが起き上がるとラッシュをかけ、更に2度倒して試合を終わらせた。

 フィニッシュに結びついた顎への右アッパーは見事なタイミングだった。何度かスイッチし、オーソドックスでも戦える器用さ、また連打の最中にローブローをいれる強かさも見せた。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 ナバーロのマネージャーを務めるビシェアー・ムーニーは、こんな言葉を残している。

「スティーブンには大きな可能性がある。見事なフットワーク、予想外のコンビネーション、優れたボクシングIQを持っている。リング外での彼にはカリスマ性があり、ファンやスポンサーからも好かれている」

 

 ボブ・アラムはこの若者をどのように育てていくのか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事