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12戦全勝7KOのフェザー級は本物か?

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Mikey Williams/Top Rank ペレス(右)の闘志も印象的だった

 11戦全勝7KOのフェザー級、アルバート・ゴンザレス(22)の相手に選ばれたのは、12勝(3KO)6敗1分のアルゼンチン人ファイター、ジェラルド・アントニオ・ペレス(28)だった。

 トップランクのボスであるボブ・アラムは、今年7月に契約を結んだ22歳を絶賛していた。

 「アルバート・ゴンザレスは獰猛で攻撃力のあるパンチャーだ。今後、何年にもわたってフェザー級やそれより上の階級で、実力者となるだろう。ロベルト・ガルシアと彼のチームがゴンザレスを指導する。天賦の才は勿論のこと、チャンピオンになるためのあらゆるものを備えている」と。

Mikey Williams/Top Rank
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 期待を掛けられるゴンザレスも、「神、私のチーム、そして契約を締結するのに関わったすべての人に感謝します。ここに来るまでには長い道のりでしたが、まだ、始まりに過ぎません」と話していた。

 ゴンザレスは、2021年11月にプロ転向した。トップランクでの初陣はESPNで放送されるという愛され方である。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 アルゼンチンから呼び寄せた咬ませ犬に対し、ゴンザレスは自信たっぷりにワンツー、左フックと力を込めたパンチを振るっていく。同じ階級ながら、ゴンザレスの上半身の筋肉は、ペレスより大きく見えた。

 だが、2ラウンドに入るとペレスが闘志を露にする。積極的に手を出し、前進した。「簡単には倒されない!」とでも言いたげな表情で、唸り声を上げながら向かっていく。ゴンザレスのクリーンヒットを浴びても、両手を上げ「そんなんじゃ効かない。もっと打ってこい!」とアピールした。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 カウンターを狙うゴンザレスはノーガードやフリッカースタイルで余裕のあるフリをしていたが、ペレスのタフさに手を焼いていた。クロスレンジでの打ち合いの際、正確にパンチを入れても、決定的なダメージは与えられない。逆に攻撃の幅の無さを露呈することとなった。

 一発一発ハードヒットするが、強弱がなく、攻めが単調だ。コンビネーションも多彩とは言えない。8ラウンドをフルに戦った結果、8ポイント差が2人、6ポイント差が1人のスコアでゴンザレスは勝者となった。

 が、戦績ほどの怖さは感じられない。22歳のゴンザレスは、その若さをいかに彩るか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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