バルサが調子を落としている理由。ペドリの不在とレヴァンドフスキを求める声。
調子の浮き沈みが、激しい。
バルセロナが不調だ。フランクフルト戦、カディス戦、ラージョ・バジェカーノ戦と本拠地カンプ・ノウで3連敗を喫した。同一シーズンにおけるホームでの3連敗は史上初の出来事だった。
バルセロナは今季途中に監督交代を行なった。ロナルド・クーマン前監督が解任され、シャビ・エルナンデス監督が就任した。
クーマン前監督(5勝3分け5敗)、シャビ監督(17勝8分け7敗)と向上はみられている。一時は、シャビ監督の下で15試合無敗の記録をつくった。だが再建への道のりは平坦ではない。
「良くなったところはある。バルセロナは(冬の移籍市場で)アタッカーを3人補強した。比較は歓迎すべきものではない。ただ、私が解任された時、首位との勝ち点差は8ポイントだった。現在、その勝ち点差は倍くらいになっている…。比較はできないが、嘘をつく必要もない。ホームでの連敗には、何かしら理由がある。それが、いまのバルサの現実だ」
「シャビの仕事は、私の仕事と同様に、難しいものだと思う。バルサが以前の姿に戻るには、時間が必要だ。『タイトルを獲得できなかった』なんて風に考えるべきではない。長いスパンで見て、監督を信頼してサポートしなければいけない」
これはクーマンのコメントである。
■ポゼッションとプレーモデル
シャビ監督の就任で、バルセロナというチームは原点回帰を目指した。今季のリーガにおいて、バルセロナのポゼッション率(64.7%)は、レアル・マドリー(60.5%)、セビージャ(60.2%)を抑えてトップの数字だ。
一方、課題は残されている。カディス戦(145回)、ラージョ戦(164回)、フランクフルト戦(148回)といずれも相手よりボールロストが多かった。また、ボールの失い方も悪く、それはつまり対峙するチームのカウンターが効果的に炸裂することを意味する。
「我々はプレーモデルを変えている。このやり方は、長い間、やっていなかった。フィジカルの消耗が激しい。守備面で、それは顕著に出る」とはシャビ監督の弁だ。
プレーモデルの変更、疲労の蓄積、過密日程、そういった状況で負傷者が続出するのは避けられなかった。
ペドリ・ゴンサレスやジェラール・ピケといった主力が、立て続けに負傷離脱を強いられた。中盤を支配する男と守備の要がいなくなり、チームのバランスは崩れた。
シャビ監督に、「最上級の選手」と言わしめるペドリの存在感は、バルセロナで日を追うごとに増していた。技術、戦術眼、プレービジョン、判断力、全てが一級品で、まさにミドルゾーンで違いをつくれる。今季はそれに加えてガラタサライ戦やセビージャ戦でスーパーゴールを沈めたように、得点の場面でも顔を出すようになった。
ピケは、ビルドアップで多大な貢献をしている。エリック・ガルシア、ロナウド・アラウホとカンテラーノが台頭してきているバルセロナだが、ピケの配球の能力はいまもなおトップレベルにある。ピケがいる試合といない試合では、後ろからの構築で大きな差が出てしまうのだ。
■決定力と補強の名
現在、アーリング・ハーランド(ボルシア・ドルトムント)、ロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)といった選手がバルセロナの次の夏の補強候補として挙げられている。
ハーランドに関しては、ジョアン・ラポルタ会長が先日、「(獲得資金が)高過ぎる」と否定していた。だがレヴァンドフスキについては「来る可能性はそちらの方が高い」と述べており、獲得をにおわせている。
ただ、彼らが加入した場合、カンテラーノの出場機会はまた減ることになる。単純に、下から上がってくる選手のプレータイムがないという話ではない。冬の移籍市場で獲得したアダマ・トラオレのウルヴァーハンプトンへのレンタルバックが濃厚となっている。広義の意味合いで、ラ・マシア(バルセロナの育成寮)出身選手の枠が減るのだ。
現実的に、今季のバルセロナの目標はリーガでトップ4以内に入ることだろう。タイトルを求めるシチュエーションではなく、その点ではクーマンが正しい。加えて、補強においても、いったん間を置いて熟考すべきだ。