新型コロナに関して「ウソをついてしまった人」はどのくらい? アンケート調査で明らかに
熱っぽくても「大丈夫です」と答えてしまったり、新型コロナ陽性と分かっていても休むわけにいかず出勤してしまったり・・・。そんな新型コロナに関するウソの申告について、アンケート調査が実施されました。
ウソをついたりルールを守らなかったりした人は約40%
これは、アメリカで実施された研究です(1)。電子メールで登録をお願いし、約1,800人が回答したオンラインアンケート調査です。
重要なポイントとして、この研究はウソをついたりルールを守らなかったりしたことを糾弾する研究ではないということをご理解ください。
質問した項目は以下の9項目です。新型コロナの感染確定・疑い例については、①一緒に過ごす人に伝えなかったことがあるか、②病院受診前に伝えなかったことがあるか、③公的な場所に入る前に伝えなかったことがあるか、の3つの質問に回答してもらいました。
その他、④厳格な感染対策をしているとウソをついたことがあるか、⑤ワクチン未接種の人は接種したとウソをついたことがあるか、⑥ワクチン接種済の人は未接種とウソをついたことがあるか、⑦隔離を要するにもかかわらず隔離不要とウソをついたことがあるか、⑧感染したと思っているときに検査を回避したことがあるか、⑨感染したと思っているときに隔離を回避したことがあるか、の質問にもそれぞれ回答してもらいました。
調査の結果、9つの質問のどれかに「ある」と回答した人の割合は41.6%でした。割合が最も高かった項目は、④厳格な感染対策でした(24.3%)(図1)。ワクチンに関する項目は、その他の項目ほど割合が多くありませんでした。
ウソをついたりルールを守らなかったりした要因
ウソをついたりルールを守らなかったりする理由として多かったものは、「パンデミック前の生活を続けたかった」「個人の自由だと思った」「他人には関係がないことだから」などでした。
ウソをついたりルールを守らなかったりする最も強い要因は、年齢が若いことでした。60歳以上の人と比較した場合、そのリスクは18~29歳で4.87倍、30~39歳では3.16倍、40~49歳で2.59倍、50~59歳で2.09倍となりました(図2)。また、科学に対する不信感が強い人もリスクがやや高いことが分かりました(1.14倍)。
まとめ
新型コロナの自宅療養解除基準は「発症日から7日間」となっています。早く療養解除を希望するために発症日を前倒し申告したり、濃厚接触者を減らすために発症日を後ろ倒し申告したりする事例は、私も診療の場で何度か目にしたことがあります。
また、新型コロナ陽性と分かっていても、「会社には言えない、どうしても仕事に行かないといけない」とおっしゃっていた患者さんもいました。
繰り返しますが、この研究はウソを糾弾するものではありません。今後、新型コロナのような新興感染症が再来した場合、「どのようにして人々に呼びかけるべきか」を振り返るための調査でもある、と理解しています。
(参考)
(1) Levy AG, et al. JAMA Netw Open. 2022; 5(10): e2235837.