誰かの人生の一瞬に触れるのであれば、僕は「耳かき」でありたい。
読むに値する「おすすめ本」を紹介するHONZに「漫画」というジャンルができた。そこに友人であり、若者支援者として「トキワ荘プロジェクト」という若いマンガ家支援を生業にしている菊池さんが書評家としてデビューした。
HONZというサイトは名前だけ聞いたことがあったが、菊池さんのデビューをきっかけに詠むようになったのだが、あまり興味ないジャンルや、知らない書籍に出会えるので、よい書評に出会ったときは買うようになった。
漫画との付き合いは長く、いまでも好きでたくさんの漫画を読む。時々、自分のブログでも漫画そのものや、漫画を通じて気がついたことなども書いているが、記事によってラジオの出演依頼が来たり、ハフィントンポストに転載されたり、不思議なことも起こる。
画像にあるよう、菊池さんが漫画書評に挙げたのが「山本耳かき店」という漫画だった。既に書評があるのでどんな漫画なのかは読んでいただければいいのだが、早速購入して読んでみた。イメージとしては「黄昏流星群」や「走馬灯株式会社」のようなショートショートの人生漫画なのだが、「耳かき(山本耳かき店)」を通じてさまざまな人生を知ることができる。
誰でも何らかの形で他者と時間を共有し、時に深い付き合いをするが、私は無業という状態から抜け出そうとする若者への支援活動をしているため、彼ら/彼女らの人生の一瞬ではあるが、比較的深いところで時間を共有することがある。
ただし、いまはあまり現場に入ることがないため、あくまでも経営者の立場としてということになるが、それでも組織を通じてさまざまな人生を歩んできた若者に触れる。何年も自宅から出られなかったり、矯正施設から退院してきたり、働いていて心身を壊してしまったり、何十社と面接を受けても採用に至らなかったりする。困窮環境のなかを生き抜いてきたり、癒えづらい虐待やいじめの過去を抱えていたり。
ひとにより価値観は違えど、自らを幸せであるとは言いづらい状況に対し、山本耳かき店の耳かきは何かしらのターニングポイントをもたらす。そこには気づきであったり、解放であったりい、過去の清算であったり。私自身も本当に微力ではあるけれど、誰かの、何かしらのターニングポイントになれるよう活動していきたいと思った。もちろん、ターンの先が必ずしもよいものばかりではないかもしれないが、それでもなお他者の人生に関わることを選択している以上は、それがよきものになるよう、月並みだが頑張っていきたいと思う。
いつか山本耳かき店の「耳かき」になれますように。