「アップルが強制アップデートでSNSアプリを削除する」トランプ支持者たちがデマ拡散
「アップルが今日明日にも全iPhoneの強制アップデートを行い、SNSアプリを削除する」こんなデマがTwitterで6,000リツイート以上され、拡散しています。注意してください。
まあ「デマです」と否定しても「証拠を出せ!」というツッコミがくることが予想されるため、念のため事実かどうかアップルに問い合わせを行っています。
ただ、投稿された内容からデマだと断言できます。
「【自動アップデート】でアプリが削除される」という謎主張
拡散している投稿の内容は次のとおりです。
まとめると
- アップルが今日明日にも全iPhoneの強制アップデートを行う
- それによりSNSアプリ(おそらくは『Parler』)が削除される
- 防ぐ方法は【設定】の自動アップデートをオフにすること
- または【スクリーンタイム】から【Appの削除】を許可しないにすること
という内容です。
これにトランプ大統領の顔アイコンのユーザーたちの「情報ありがとうございます!」「オフにしました」との返信がぶら下がりまくっており、さながら地獄のようです。
【自動アップデート】ではアプリは削除されない
まず、自動アップデート機能はその名のとおりアプリのアップデートがあった際に自動でアップデートする機能であり、アプリを削除する機能ではありません。
この設定をオンにするとアプリの新しいバージョンが配信された際、設定した容量未満のアプリ(デフォルトは200MB以内)なら自動的にアプリのダウンロードが行われます。
決してアップルがアプリを削除するための機能ではありません。
【スクリーンタイム】はアプリの利用状況を管理するもの
次に【スクリーンタイム】ですが、こちらは自分や家族のアプリの利用状況を管理するための機能です。
【コンテンツとプライバシーの制限】から【Appの削除】をオフにすると、アプリのアイコンを長押しして行うアプリの削除ができなくなります。
これにより「誤ってアプリを消してしまう」という操作事故を防ぐことができます。
ただ、これもアップルがアプリを削除するための機能ではありません。あくまでのユーザーの操作を制限するものです。
強制アップデートなら設定のオン・オフなど無意味
そもそもの話ですが、もしもアップルが強制アップデートを行うのであればどの設定をオフにしようとムダです。
それが強制アップデートです。ユーザーの意思や設定など関係ありません。
強制アップデートなるものが存在するのであれば、それを回避できる方法があることがおかしいのです。それがこの投稿がデマであると言える根拠です。
もちろんこれまでに強制アップデートなるものが行われたことはありません。
トランプ支持者が集まるSNSアプリ『Parler』削除が背景か
このデマが投稿・拡散された背景には、トランプ支持者たちが集まるSNSアプリ『Parler(パーラー)』が削除されるというニュースが報じられたためだと考えられます。
アップルは現地時間1月8日、『Parler』に対して「24時間以内に不適切な投稿を認めない新たなポリシーを導入しないとApp Storeから削除する」と警告。翌9日、アプリ『Parler』は実際に削除されました。
このニュースを見て、なぜか「アップルが全iPhoneからSNSアプリを削除する」と誤った受け取り方をしたものと思われます。
ちなみに『Parler』はアップルだけではなく、Googleからも同9日に削除。さらにAmazonから「10日深夜にサービスの提供を打ち切る」と通告されています。これによりAWS(Amazon提供のクラウドサービス)を利用できなくなるため、アプリが“強制アップデートで削除”されずにスマホに残っていたとしてももうアプリからは利用できません。
一応お伝えしておくと、『Parler』のJohn Matze CEOは「最大で1週間ほどサービスが利用できなくなる可能性があるが、ゼロから再構築する」と告知しているため、Webアプリとして今後も『Parler』は利用できると思われます。
デマに惑わされないように注意
今回のデマはアプリの自動アップデート機能やユーザーの操作によるアプリの削除機能をオフにするだけのため、そこまでユーザーの不利益になるわけではありません。
せいぜい大容量のアプリが自宅などでアップデートされないため外出先でアプリが利用できない(手動アップデートで解決)とか、アプリが削除できずにストレージ容量が圧迫されるとか、それくらいです。
ただ、デマに惑わされてホイホイ設定を変えるようなことをしていると、そのうち詐欺や乗っ取りなどの事件に巻き込まれないとも限りません。
トランプ大統領を支持していようが、支持していまいが、デマに惑わされないよう十分に注意してください。