立夏に添える「笹団子」の清涼感。柏餅や粽とはまた異なる配合と舌触りをお試しあれ。
端午の節句が終了すると、爽やかな初夏の雰囲気と同時にじめじめとした梅雨の気配も徐々に感じられるようになりますね。二十四節気ではこどもの日、5月5日に「立夏(りっか)」を迎え、暦の上ではもう夏が訪れました。
そしてこのあたりから姿を見せ始めるのが、笹の葉が持つ殺菌・防腐作用を利用した季節の和菓子のひとつでもある笹団子。
笹団子の特徴といたしまして、上新粉(うるち米)ともち粉(もち米)を混ぜて作るというのも大きなポイントのひとつかと。
これから本格的にはじまる田植えなどの農作業の合間に、出荷できないいわゆる「くず米」を混ぜて粉にし、笹の葉で包んで蒸しあげることで、保存性(日持ち)を高めたおやつとして広まり始めたという説もあります。
今回は新宿や銀座に店舗を持つ、大角玉屋さんの「笹団子」をご紹介。
丁寧に括られたキャンディのような丸みを帯びた見た目が可愛らしいですね。バラバラにならないよう、外側からわからないようにひとまとめに縛っていらっしゃるのも、最後のひと手間。
包みをひらくと、青々しい笹の葉の香りがいっぱいに広がり、なんともいえない深呼吸したくなるような爽快感が。舌で潰せるほどねっとりとしたお餅は、笹の香りを引き立ててくれる程度にほんのりと蓬がいい味を出しています。そこがまた粒あんの甘味ではなく、小豆そのものの味わいも縁取ってくれるので、お子様でもぱくぱくっと食べやすい笹団子に。
笹の葉から剥がしにくい場合は、お餅と葉っぱの間にそっとお水を流してみてくださいね。隙間からゆっくりと剥がしていくと、割と高確率で綺麗に笹の葉からはがれます。力間瀬にべりっと剥がしてしまうと、お餅に穴が開いてしまうのでご注意を。
柏餅も「よもぎ×粒あん」という組み合わせを多く見かけましたが、あちらは粳米である上新粉を使用したもの、またはその割合が高いものが殆どです。
ですので、ねっとりとした笹団子はまた別の美味しさと甘味、味わいがありますので、ぜひ一度ご賞味あれ。