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気に入らない選手を叩き、そこから打撃は上向き。一方、叩かれた選手は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
トミー・ファム(シンシナティ・レッズ)Jun 5, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先月下旬、トミー・ファム(シンシナティ・レッズ)は、3試合の出場停止を科された。5月27日の試合前に、ジョク・ピーダーソン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に平手打ちを喰わせたのが理由だ。この一件については、「試合前に対戦チームの選手を平手打ちは、ウィル・スミスを真似たのではなく、その理由もまったく違い…」で書いた。

 5月26日までのファムは、42試合に出場し、打率.233と出塁率.335、5本塁打、OPS.709だった。平手打ちと出場停止を挟み、6月2日以降の16試合は、打率.322と出塁率.414、4本塁打、OPS.991を記録している。ピーダーソンを叩いてすっきりしたのかどうかはわからないが、打撃は上向きだ。今月半ばにUSAトゥディのボブ・ナイテンゲールが発表した記事によると、ピーダーソンを叩いたことについて、ファムは「後悔していない」と発言しているという。

 一方、ピーダーソンは、叩かれる前の35試合が、打率.260と出塁率.331、11本塁打、OPS.936。その後の22試合――叩かれた当日を含む――は、打率.290と出塁率.371、3本塁打、OPS.839だ。打率と出塁率は上がっているが、パワーはダウンしている。

 まもなく、レッズとジャイアンツは、再び顔を合わせる。24日~26日に3試合を行う。今シーズン、両チームの対戦はこれが最後だが、ファムは、この夏に移籍する可能性が高い。大きく負け越しているレッズは、夏のトレード市場でファムを売りに出すだろう。

 例えば、ロサンゼルス・ドジャースでは、ファムと同じ右打ちの外野手、ムーキー・ベッツが離脱している。ベッツの復帰が遅れ、離脱直後に獲得したトレイス・トンプソンが打てなければ、ドジャースは、新たな外野手を手に入れようとするはずだ。それがファムであっても、おかしくはない。

 ドジャースとジャイアンツは、同じナ・リーグ西地区のチームというだけでなく、長年にわたるライバルでもある。1957年までは、どちらもニューヨークに本拠を構えていた。

 なお、ベッツの離脱とトンプソンの移籍については、こちらで書いた。

「トレードで戻ってきた、あの大物の弟が、離脱した大物の穴を埋める!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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