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主な新興国経済ニュース(4月23日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

【ロシア‐4月23日】決済最大手キウィ、時価総額は940億円―米ナスダック上場で

米ナスダック店頭市場への新規株式公開(IPO)を目指しているロシア代金支払い決済サービス最大手キウィは、同社の時価総額が8億3200万‐9億3600万ドル(約830億‐940億円)になるとした上で、IPOで株式1200万株を1株当たり16-18ドル(約1600-1800円)で売り出し、最大で2億1600万ドル(約220億円)の資金を調達する見通しを明らかにした。モスクワ・タイムズ(電子版)が22日に外国通信社の報道を引用して伝えた。

今年上場するロシア企業としては、2月にモスクワ証券取引所がIPOでで5億ドル(約500億円)を調達して以来、2番目となる。すでにキウィはIPOを目指して、米JPモルガン証券とスイス金融大手クレディスイスを引き受け幹事に指名している。キウィは欧州やアジア、アフリカ、南北アメリカの22カ国で事業を運営している。

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【ポーランド‐4月23日】首相、ブザノフスキ財務相を更迭-ロシア産天然ガス輸送めぐり

ポーランドのドナルド・トゥスク首相は19日、ミコワイ・ブザノフスキ財務相を更迭した。後任の新財務相には元行政・デジタル化省次官のブウォジミエシ・カーピンスキー氏(52)が就任する。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が22日に伝えた。

ブザノフスキ財務相が更迭されたのは、ポーランドの国営ガス大手PGNiG傘下のユーロポル・ガスとロシア国営天然ガス大手ガスプロム傘下のガスプロム・エクスポートが今月5日に極東ロシア極東シベリア地方のヤマル半島からベラルーシとポーランド経由でドイツまで天然ガスを送る新パイプライン網「ヤマル-2」の建設に向けたフィージビリティ(実現可能性)調査に関する覚書を結んだが、PGNiGは監督官庁であるポーランド財務省に事前に報告していなかったため、反政府の野党から財務相の監督責任を追及され、トゥスク首相も更迭を余儀なくされた。

更迭の背景には、ポーランドの石油・消費輸入のロシア依存が大きいことがある。現在、ポーランドの石油輸入の90%がロシア産原油で、天然ガスも50%以上となっている。このため、ロシア絡みのエネルギー問題は政治問題化しているのが実情で、ポーランド政府もヤマル半島からドイツまで天然ガスを送っている既存のパイプライン網「ヤマル・ヨーロッパ」に加えて、新パイプラインの建設は、ロシアがポーランドと親交の深いウクライナ経由のパイプラインを閉鎖することになりかねないとして危惧していた。

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【インドネシア‐4月23日】マツダ、市場シェア1.3%目指しディーラー網拡大へ

マツダ<7261.T>のインドネシア法人、マツダ・モーター・インドネシア(MMI)の奥江敬三社長は22日、ジャカルタ・ポスト(電子版)とのインタビューで、今年の国内販売シェアを昨年の1.1%(販売台数1万2000台)から1.3%(同1万6000台)への拡大を目指す方針を明らかにした。

また、同社長は販売シェアを拡大するため、国内のディーラー店舗数を現在の37店から約2割増の44店に増やすとしている。同社長はマツダの全世界の昨年の販売台数が120万台となり、このうち、タイが約7万5000台に対し、インドネシアは1万2000台だったが、今年のインドネシアの成長率が6-7%と高いことを考えると、インドネシア国内での自動車販売は拡大する余地が十分ある、と指摘している。

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【インドネシア‐4月23日】自動車からオートバイへの転換加速か―燃料補助金削減で

インドネシア運輸政策研究所のダルマニンティアス所長は、政府が先週、燃料補助金の削減を決めたことから、今後、燃料補助金付きガソリンなどのコスト上昇が避けられず、その結果、自動車ユーザーの25%がオートバイ利用に転換すると予想している。ジャカルタ・グローブ(電子版)が22日に伝えた。

政府の計画では、バスなどの公共車両は従来通り、補助金付きの安価な燃料を1リットル当たり4500ルピア(約45円)で購入することができるが、それ以外の民間の自動車は補助金が適用されず1リットル当たり6500ルピア(約65円)の高い燃料の利用が強いられることになる。

現在、インドネシア国家交通警察庁によると、昨年のオートバイの登録台数は約7800万台、自動車は1000万台となっているが、今後は燃料費削減や都市部の渋滞回避を目的に、特に中間所得層の自動車ユーザーの25%がオートバイ利用に代わると予測している。

インドネシア交通学会(MTI)によると、自動車ユーザーの1日の平均燃料消費量は8リットルなので、6500ルピアになれば1カ月(25日間)では130万ルピア(約1万3000円)となるが、オートバイでは1日平均消費量は2リットルなので、6500ルピアになっても1カ月では32万5000ルピア(約3250円)で済むとしている。

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【ベトナム‐4月23日】経済界、最近のガソリン価格上昇によるインフレ加速を懸念

ベトナム経済界は、最近の国内のガソリンやディーゼルなどの燃料価格の上昇の影響で、食料品から輸送費まで広範囲にわたって物価上昇が起こると警告している。ベトナム通信(電子版)が22日に伝えた。

ハノイ・タクシー協会のドー・クオック・ビン会長は、一部の会員企業はガソリン価格の上昇を受けて、タクシー料金の引き上げをすでに申請しており、1キロ当たり600-1000ドン(約3‐5円)の料金値上げが予想されるという。

また、ハノイ・スーパーマーケット協会のブー・ビン・フック会長も燃料価格の上昇で、食料品の輸送コストや生産コストが増大して物価全体が押し上げられ、スーパーマーケット業界にとって新たな問題になると懸念を示している。実際、ホーチミンではビナテックスやロッテマート、マキシマーク・コン・ホアのスーパー3社は物流業界から5%の輸送料金の引き上げ要請を受けている。

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【ブラジル‐4月23日】中銀週報:5月会合時の政策金利見通し、7.75%で据え置き

ブラジル中央銀行が22日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した次回5月28-29日の金融政策決定会合時の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しは、前週予想の7.75%のまま据え置かれた。1カ月前の予想は7.5%だった。

また、2013年末時点の政策金利の見通しは、前週予想の8.5%から8.25%へ引き下げられた。2014年末時点の政策金利も前週予想の8.5%のまま据え置かれた。据え置きは5週連続。

2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しについては、従来(前週)予想の前年比3%増のまま据え置かれた。据え置きは2週連続。1カ月前の見通し予想は3%増だった。2014年のGDP伸び率見通しも従来予想の前年比3.5%増のまま据え置かれた。据え置きはこれで6週連続。1カ月前の見通し予想は3.5%増だった。

一方、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2013年は前週予想の前年比5.68%上昇から5.7%上昇へ下方修正(悪化)された。1カ月前の予想は5.71%上昇だった。しかし、2014年の見通しは前週予想の5.7%上昇から5.71%上昇に下方修正(悪化)された。1カ月前の予想は5.6%上昇だった。

為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、従来予想の1ドル=2.00レアルに据え置かれた。据え置きは8週連続。2014年末時点の見通しも従来予想の2.05レアルに据え置かれた。据え置きは5週連続。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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