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SNS投稿、「動画派」が増えている理由。「写真よりも手軽」の心理とは?

五百田達成作家・心理カウンセラー
photo by Patrik Nygren

撮っているのは写真ではなく動画かも?

観光地、イベント、カフェ……どこへ行っても、スマートフォンを構えている人が自然と目に入ります。デジカメやスマホの普及により、記念写真を撮るのはとても簡単になりました。だれもが、抵抗なくハードルを感じることなく、パシャリパシャリをそれぞれの思い出を切り取っています。

気楽に写真を撮ってSNS上に投稿する習慣はすっかり定着していますが、どうやら最近は写真ではなく、動画を投稿する人がじわじわと増加しているようです。

全世界で75%増加 動画投稿ブーム

実際に、Facebookは、2015年1月に、過去1年間で動画投稿数が全世界で75%増加したことを発表しました。そう言われてみれば、TwitterやFacebookなどで、そうした投稿を目にすることが多くなっていますよね。

ではどうして、このように思い出を動画で残すことが増加しているのでしょうか。このブームの背景を探っていきます。

「写真写り」を気にしなくていい

まず1つ目は、「写真写り」問題が挙げられるでしょう。

写真を撮る際、また選ぶ際には、どうしても写真写りが気になるという問題が生じます。女性の場合はなおさらです。

せっかく写真に残るのだったら、綺麗に写りたいと思って、写真を撮られる際には、身なりを整えて、キメ顔をして、細く見えるポーズをして……。中には、「盛る(かわいく見えるように修正を施す)」ことに命を懸けている人も。

「奇跡の一枚」を選ばなくていい

また、実際に投稿する写真を選ぶ際にも、自分はこの写真が一番写りがいいけど、○○ちゃんの写りが微妙だし、この写真は○○ちゃんの写りはいいけど、△△さんの写りがイマイチ……などと、人間関係をも背景とした葛藤が生じてしまいます。全員が写りのいい写真なんてなかなか存在しません。

そうなると、たくさん撮りためた写真の中から奇跡の一枚を選んで、投稿するというのは、ハードルが高い行為。ついついめんどうで、先延ばしにしてしまうこともしばしばです。

動画なら「あきらめ」がつく

一方で、動画は、写真ほど「写り」を気にする必要がありません。動きがあるために、写りが良いとか、写りが悪いとかの判断があまりつかないのです。ぶれまくってても、変な顔でも気にしない。というか、こだわりきれないのであきらめがつく、というほうが正しいかもしれませんね。こうして、動画は写りを気にする必要がないから、撮影する時も、投稿する時も、より気軽に行うことができるというわけです。

「写真写り」という永遠の課題が、動画の登場により、良くも悪くもごまかされた形です。

アップロード環境も後押し

2つ目は、アップロードする環境が整ったこと。

今では当たり前のようにSNS上で動画を目にしますが、実は、オシャレ系SNSの代表格Instagramに動画が投稿できるようになったのは2013年のこと。当初はInstagramのアプリで撮影した動画を、そのまま直接投稿することしかできなかったものの、過去の動画を投稿できるようになったり、Instagram用の独立した動画アプリが登場したり、と状況はみるみる改善。

Twitterでも2015年に、投稿できる動画の秒数が30秒まで伸びました。

このように、従来は写真投稿が中心であったSNSにおいて、動画をアップロードできる環境が整備されてきています。勿論、ニワトリとタマゴの議論のように動画需要が高まったから、環境が整備されたと見ることもできますが、こうした環境が整ったことは間違いなく動画ブームを加速させている一因でしょう。

動画編集アプリの充実

3つ目は、動画の編集も簡単になったこと。

従来の「旅先の動画」と言えば、長時間にわたってだらだらと撮影。その結果、同じような画が続き、撮影している時は楽しくとも、なかなかあとで見返そうとは思わなかったわけです。

そんな中、卓越した動画アプリの登場で、こうした動画のマイナスポイントが克服されつつあります。

動画ブームの火付け役アプリ

動画ブームの火付け役ともいわれるのが、「Road Movies」。使い方は簡単、1秒×24場面、2秒×12場面、3秒×8場面のいずれかを選び、動画を撮影したいシーンでアプリを起動し、短い動画を撮っていくだけ。

24秒分の撮影が完了後、流れる音楽や加工用のフィルターを選択すると、アプリが自動で動画を繋ぎ合わせてくれ、あっという間に24秒の「それらしい」ショートムービーが完成するのです。

1つ1つのシーンは短いため、見ていても飽きることがありません。従来の動画のようなだらだら感がなく、コンパクトに思い出のハイライトが凝縮された動画になるため、自分自身でも何度も見返したく、そして人にもつい見せたくなる動画を簡単に作ることが可能。

※このアプリ、自動車メーカーのHONDAが作ったというのは、実に興味深いことです。

ハード、インフラ、ユーザー心理の3つが融合

ハードとして動画の撮影・編集が簡単になったこと、インフラとしてアップロードできる環境が整ったこと、ユーザー心理として写真写りを気にしなくてすむこと。以上、3つが動画投稿ブームの背景に潜んでいます。

結婚式のスライドムービーから赤ちゃんの撮影、ユーチューバーの登場にいたるまで、テキストからビジュアル、写真から動画というのは、自然な流れ。

今年のGWこそ、爆発的な「動画元年」として記憶されることになるかもしれません。

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作家・心理カウンセラー

著書累計120万部:「超雑談力」「不機嫌な妻 無関心な夫」「察しない男 説明しない女」「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち」「話し方で損する人 得する人」など。角川書店、博報堂を経て独立。コミュニケーション×心理を出発点に、「男女のコミュニケーション」「生まれ順性格分析」「伝え方とSNS」「恋愛・結婚・ジェンダー」などをテーマに執筆。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。

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