今さら「晩飯いらない」LINE 突然の予定変更で夫婦に亀裂、避ける伝え方は?
妻「今日、帰り何時頃になる?」
夫「あ、これから同僚と飲みに行くから、晩飯いらない」
妻「……は?」
-----
妻「今度の日曜日、おばあちゃんたちが遊びに来てくれるって」
子「やったー!」
夫「……え?(その日は、量販店に行ってテレビを買う予定では???)」
突然の予定変更、ドタキャン……。
友人や仕事の相手にはきちんと丁寧な連絡をする人たちが、なぜか対家族・対夫婦となると、とたんにぞんざいな話しぶりになってしまう。
キャンセルされたほうとしては、怒り心頭。「ふざけるな」と恨みがつのります。いったいなぜ、こうなってしまうのでしょうか?
前回に引き続き、コロナ禍で一緒にいる時間が多くなり、ちょっとしたトラブルも増えてきたであろう日本中の夫婦に向けて、解説します。
夫婦の約束は納期・契約と同じ
冒頭の会話例は、どちらも相手に、勝手に予定を変更されたシーンです。
そもそも、打ち合わせ、商談、契約、納品の時期など、仕事上の約束は多くの人がきっちり守る、あるいは、守ろうとします。「こうしましょう」といったん双方で決めることは、人間関係の礎でもあります。
みんなそれを重視しているからこそ、遅刻しない、勝手にサボらない、変更しない。約束が守れなくなりそうなときには、即、相手に相談し、変更をお願いするわけです。
ところが、夫婦間の約束となると、なぜか途端に「なあなあ」「適当」になってしまいがち。これが多くの夫婦のトラブルの原因となっています。
正論過ぎて恐縮ですが、取引先との約束もさることながら、一生のパートナーである夫や妻との小さな約束こそ、きちんと守るべき、大切に扱うべきでしょう。
「あなたのことを軽んじています」のメッセージ
なぜなら、約束を反故にしたり、勝手に変更したりすることは、すなわちそのまま「あなたとの関係を軽んじています」「あなたが多少怒っても、こちらとしてはどうでもいいです」というメッセージにつながるからです。
万が一約束が守れなくなりそうなときには、
「木曜日の夜、子どもを見るって言っていたけれど、仕事が入りそう」
「えー、飲み会なのに、いまからキャンセルできないよ」
「どうしよう?」
「どうしようか?」
と、このように、夫婦が冷静に話し合えるのが理想でしょう。
冒頭の例で言うなら、
妻「今日、帰り何時頃になる?」
夫「あ、ごめん! 言い忘れてた。これから同僚と飲みに行くことになっちゃって。いいかな……?」
妻「もー、早く言ってよねー。まあ、いいけどさ」
-----
妻「母から突然連絡来たんだけど、今度の日曜日、うちに来たいんだって。どうしよう」
夫「えー。その日は予定あるじゃん」
妻「そうなんだけどね。断ろうか」
夫「まあ、いいよ。子どもたちも喜ぶだろうし。その代わり、来週は必ず行くよ?」
妻「わかった。ありがとうね」
といった具合です。
「通告」ではなく「相談」を
ポイントは、キャンセルする側から早め早めに連絡すること。確認されてから「あ、ごめん、その件はナシで」と事後報告することほど、相手の気分を害することはありません。
さらに、その物言いが一方的にならないことも大切。あくまで「相談」の体をとることが重要です。
「いまから話すことは相談です。一方的にこうしたいとか、こうしてほしいという要求ではありません。何かよい解決策はないかを一緒に考えてほしいというお願いです!」
とまあ、これはだいぶ硬い言い方ですが、これくらいのことをまずはきちんと伝えれば、言われたほうも「どういうこと!?」「いきなりそんなことを言われても困るよ!!」などと感情的にならずに済むでしょう。
一瞬ムッとしたとしても、「あなたとの関係を尊重している」というメッセージが伝わるので、最悪の事態には発展しないのです。
言う前に一秒だけ考える
「いやいや、たかが約束でしょ」
「夫婦なんだから、そこは柔軟にいこうよ」
そういう気持ちもよーく、わかります。確かに仕事じゃないのですから、融通をきかせ合ってこその家族。その思いが夫婦で同じであれば問題はないでしょう。「お互いにそこはゆるくいこうよ」と。
が、実際はなかなかそうもいかないはず。「こっちは甘えさせてよ。でもそっちはちゃんとして」というのが、どうしようもない人間の性です。
ですから、トラブルを避けるためには多少、厳しく他人行儀に感覚を設定しておいたほうがいいのです。そして、言い方には細心の注意を払うべきです。
約束を破る、ドタキャンすることになったら、サクッとLINEする前に、ほんの一瞬でも「取引先にはこんな言い方するかな?」「上司にだったらなんて言うっけ?」と振り返ってみるといいでしょう。
一秒でも二秒でも、その効果はてきめんです。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】