【オートバイのあれこれ】市販車史上最小の2スト2気筒マシン!
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/02029725/title-1734358542015.jpeg?exp=10800)
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「市販車史上最小の2スト2気筒マシン!」をテーマにお送りします。
1960年代から’70年代の時代に生まれてきた日本のオートバイというと、ホンダの『ドリームCB750FOUR』やカワサキ『750RS』(Z2)など、大型モデルが筆頭としてよく挙げられますが、実は小排気量クラスにおいても、興味をそそられるバイクというのがいくつかありました。
今回取り上げるヤマハ『HX90』は、そんな小型バイクのうちの一つと言えるでしょう。
![▲ヤマハ草創期のスポーツモデル『YDS』シリーズの流れを汲む2ストツインエンジンを搭載!](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/02029725/image-1734358565254.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
HX90が登場したのは、1971年(昭和46年)のこと。
’65年にデビューした『AT90』の後継車としてリリースされました。
![▲AT90(画像は’67年モデル)。この頃はまだプレス成形フレームがよく使われていた](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/02029725/image-1734358763952.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
HXの一番の見どころが、パワーユニットです。
なんと、90ccと小さい排気量ながら、2気筒エンジンを搭載していました。
レースの世界では、ホンダのWGPマシン『RC115』の50cc2気筒エンジンなどがあったものの、一般向けの量産エンジンとして90ccの2気筒というのは他に例が無く、HXは市販車の中では世界最小レベルの2気筒マシンだったのです。
![▲今で言うと原付二種クラスのサイズだが、豪華にも並列2気筒となっていた](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/02029725/image-1734358930976.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
もっとも、このエンジンは先代のAT90から受け継いだものなので、「HXに唯一無二!」ということではありません。
しかし、ヤマハはHXへ搭載するにあたってATの頃から大幅に性能を高めており、この世界最小ツインエンジンはHXでもって一気にその知名度を上げたといって差し支えないでしょう。
参考のため簡単にスペックを記しておくと、
〈AT90〉最高出力:8.2ps/最大トルク:0.75kg-m
〈HX90〉最高出力:10.5ps/最大トルク:0.96kg-m
となっていました。
車重もATより4kg程度軽く仕上げられており、HXは軽いボディとハイパワーなエンジンを武器に125ccクラスのモデルにも引けを取らない速さを見せたといわれています。
HXはデビュー後4年ほど生産が続けられ、’74年(昭和49年)に後継の『RD90』へとバトンタッチ。
ヤマハはRDには単気筒エンジンを採用したので、ヤマハの90cc2スト2気筒はHXを最後に消えていったのでした。
![▲後継のRD90では単気筒エンジンを採用](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/02029725/image-1734359232574.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
画像引用元:ヤマハ発動機