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【オートバイのあれこれ】250ccツインの角Z。Z250FT

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は「250ccツインの角Z。Z250FT」をテーマにお話ししようと思います。

昨今の絶版車ブーム下においても、トップクラスの人気を誇るカワサキ空冷Zシリーズ。

そのイメージリーダーはやはり『900SUPER4』(Z1)や『Z1000Mk.Ⅱ』といった大型モデルなわけですが、その一方、250ccクラスにもZの系譜があったことを知っているでしょうか。

▲「よく走る4ストクウォーター」を目指して作られたZ250FT
▲「よく走る4ストクウォーター」を目指して作られたZ250FT

『Z250FT』です。

カワサキは1970年代後半、250ccクラスに2ストロークの『KH250』と4ストロークの『Z200』をラインナップしていたものの、2ストローク車が環境性能の観点から世間的に肩身が狭くなっていたこと、また、4スト単気筒のZ200がスペック的にやや物足りないと評価されていたことから、新たに250ccのモデルを作ることにしました。

そうして1979年(昭和54年)に誕生したのが、このZ250FTになります。

Z250FTのディテールにおいてイチバンの見どころは、エンジンやフレームが専用設計されていたこと。

▲専用設計の車体。FTは決して「上位モデルの廉価版」ではなく、キッチリ作りこまれていた
▲専用設計の車体。FTは決して「上位モデルの廉価版」ではなく、キッチリ作りこまれていた

当時、250ccのオートバイというのは上位機種(400ccや350ccのモデル)のフレームをそのまま流用し、エンジンも排気量のみ絞って使うというレシピが一般的でしたが、カワサキはこのZ250FTの開発にあたり、エンジンもフレームもFT用としてゼロから新たにこしらえたのです。

エンジンは、SOHC2バルブの空冷パラツイン(並列2気筒)エンジンを搭載。

「Zなのに4発じゃない!」と、つい語気を強めたZファンもいたことでしょう。

しかし実際のところ、このFTのパラツインエンジンは専用設計されただけあって完成度がとても高く、キャラクターとしては10,000rpmでピークパワーを絞り出す高回転型、さらに、そこへ至るまでの回転フィーリングもひじょうにスムーズなものとなっていました。

また、250ccのスケールに合わせて作られたフレームも軽さと剛性のバランスに優れ、軽快感と安定性を高次元で両立。

このように、各部が専用で作られたFTのパフォーマンスは並々でなく、ヤマハ『RD250』やスズキ『RG250E』といったライバルの2スト勢にも負けず劣らずの鋭い走りを実現していました。

▲兄貴分のZ750FX。燃料タンク等の形はFTとそっくりだ
▲兄貴分のZ750FX。燃料タンク等の形はFTとそっくりだ


性能面以外で注目したいところは、なんといってもそのスタイリング。

Z400FX』や『Z750FX』といった兄貴分と同様の角Zスタイルとされ、Zファミリーであることがアピールされていました。

当時は250ccクラスに対して「性能もクオリティもイマイチ」というような見方をされることが少なくありませんでしたが、Z250FTはその作りこみでもって、そうしたイメージを打ち破った本格派クウォータースポーツだったと言えるでしょう。

画像引用元:カワサキモータースジャパン

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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