ホテル×メーカーの新しいコラボレーションの形
意外性を生み出すコラボレーション
近年、ホテルと異業種のコラボレーションが増えています。比較的少ない予算で、大きな効果を生み出すことができるからです。
もともと有名な2つのブランドを合わせることによって、意外性を生み出して、パブリシティとして取り上げられ易くなります。また、コラボレーションする相手ブランドの客層にもアプローチできるので、新しい顧客開拓にもつながります。
ホテルとメーカーで多くの商品を開発
帝国ホテルがとらやとコラボレーションして特製あんぱんを販売したり、東京ドームホテルが森永製菓のエンゼルパイとコラボレーションしてブッフェメニューを考案したり、ザ・キャピトルホテル東急が kiri のクリームチーズとコラボレーションして新しいスイーツを創作したりと、面白い取り合わせが見掛けられます。
ANAインターコンチネンタルホテル東京がブルーベル・ジャパンとコラボレーションした珍しい例もあります。香水ブランド「アニックグタール」の香水にちなんで、シャンパンカクテルを創ったのです。
コラボレーションの進化
コラボレーションで生み出しているものは、いずれもスイーツやドリンクといった単品です。理由は、スイーツであれば物販にもつなげられますし、単品であれば組み合わせ易くなるからです。
しかし、もっと密に関わり合い、コラボレーションするホテルが現れたのです。
チョコレートを調味料に
2009年にロッテは「麺屋 武蔵」とコラボレーションし、味噌ラーメンにガーナチョコレートを組み合わせた「味噌ガーナ」を発売しました。
これだけでも、難しい挑戦と言えますが、今回はフレンチのコースにガーナチョコレートを組み合わせるという、さらに難易度の高い挑戦を行ったのです。
ロッテが積極的にガーナチョコレートのコラボレーションを行う理由は、チョコレートが優れた調味料でもあることを伝えるねらいがあるためです。
調味料としても使われることで、チョコレートの裾野をぐっと広げようとしているのです。
バレンタインをホテルのレストランで
一方、グランドプリンスホテル高輪は、バレンタインにチョコレートを贈るのとは別のスタイルとして、バレンタインにホテルのレストランで食事するという新しい形を提案できないかと考えていました。
そこにロッテのガーナチョコレートとのコラボレーションの話が持ちあがり、新しいことに挑戦しようということで、「ル・トリアノン」で提供している京野菜フレンチとガーナチョコレートを組み合わせた新しいフレンチコースを考え出したのです。
これらのお互いの思いがうまく重なりあって、オリジナリティあふれるコースが生み出されました。メニューの一部をご紹介しましょう。
ラングスティーヌ(ニュージーランド産)フランス産フォアグラのポワレと聖護院だいこんのハーモニーガーナミルク・ブラックの香る赤ワインソース
ガーナミルクとガーナブラックをブレンドした赤ワインソースを使っています。
フォアグラとラングスティーヌの贅沢な取り合わせに、果実系ではなく、チョコレートを合わせたのは面白いです。
銀鱈のカリカリポワレ 京野菜マイスターおすすめ野菜と ガーナホワイト香るフランスブルターニュ産ポルティエバター(ピマン・エスブレッド)のソース
ガーナホワイトをフランスのブルターニュ産の発酵バターに合わせました。通常では発酵バターに生クリームを加えますが、ホワイトチョコレートを加えたところが新しいです。
フランスシャラン産鴨肉のロティ九条ねぎ添え ショコラ(ガーナブラック)と柚子風味のヴィエノワーズ
鴨肉にガーナミルクとガーナブラックをパン粉やアーモンドパウダーを付けて、焼き上げています。
カカオの風味がとても自然で、チョコレートが使われていると気が付かないくらいです。チョコレートを調味料として使う場合のよいお手本となっています。
ロッテガーナコラボレーション2014
ガーナホワイトのアイスクリームと塩キャラメルを合わせています。
見た目も味も本格的なアシェットデセールになっているので、既成商品を組み合わせているようには感じられません。
これからのレストラン×メーカーのコラボレーション
ホテルとメーカーのコラボレーションはあまり珍しくなくなってきました。
こういった中でより注目されるためには、「より深く」コラボレーションすることが大切となります。
意外性があるだけでは、瞬間的にメディアに取り上げられることはあっても、長続きはしません。
長続きしなければ、ブランド力を高めていくことは難しいです。
形だけのコラボレーションではなく、互いに本当にプラスになるような研究的な取り組みが大切となるでしょう。
■情報
グランドプリンスホテル高輪「ル・トリアノン」
2014年2月1日(土)~3月14日(金)
「ガーナチョコレート×京野菜フレンチ」
詳細は公式サイトをご確認ください。
■参考