150年以上にわたる原油価格の推移をさぐる(2023年公開版)
生産活動や日常生活には欠かせないエネルギー源の一つ、原油。その価格の長期間の推移を国際石油資本BP社によるエネルギー関連の白書「Statistical Review of World Energy」から確認する(※)。
次に示すのはデータが取得できる限りの、年次ベースの原油価格のグラフ。
かつては原油価格は少なくとも額面上は数ドル程度で推移していた。それがいわゆる石油危機(オイルショック)で値を上げ、以降は激しい乱高下にさらされることになる。そして金融危機以降の先物市場への過剰資金流入に伴う大変動が、いかに歴史的高値を付ける結果となったのか、さらに現状でもこれまでの流れの中では高値に違いないことも確認できる。なお直近2022年で大きく値が跳ねているのは、ロシアによるウクライナへの侵略戦争によるところが大きい。
BP社が白書内で公開している原油価格動向で興味深いのは、当時の額面だけでなく、直近年のアメリカ合衆国の物価に連動させた額も併記されていること。当時の物価水準でどれぐらいの金額だったのかを容易に推測できる。戦後(1945年以降)に限定したグラフも併記する。
データ計測開始直後の10年ほどは多分に物価上のぶれによるものだろうが、それでも現在の価格水準では100ドル超だったこと、1980年代の高騰時の価格は、実のところ金融危機後に生じた100ドル超と同程度の上昇ぶりだったことが分かる。
額面だけを見比べると、金融危機以降の乱高下が狂気的なものにすら感じられるが、物価動向を勘案した実質的な価格では、過去にも経験した高値水準であった事実は、改めて驚かされる次第ではある。
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※「Statistical Review of World Energy」から確認する原油価格
1861~1944年はアメリカ合衆国内の平均価格、1945~1983年はRas Tanura(サウジアラビアの最大の原油積出港)の価格、1984年以降はブレント(Brent)原油価格であり、厳密な連続性はない。しかしそれぞれの価格が大規模な違いを見せることは考えにくい。
なお価格は原油を取引する際の標準的な単位であるバレル(42ガロン・158.987294928リットル)あたりのもの。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。