安室奈美恵、全曲新曲&ノンタイアップ作品がオリコン週間チャート1位へ
衝撃的なアルバムだ。断言しよう、“安室奈美恵は2015年という時代のサウンドトラック”を生み出すことに成功した。
国内外の気鋭のクリエイターと向き合うことで、完全に覚醒した最新作『_genic』(6月10日発売)は、80’s,90’sダンスチューンを最新テクノロジー解釈によって再構築=リバイバルした、スムージーにエッジーな世界照準ポップミュージック集に仕上がっている。
EDMカルチャーが制覇した世界中のポップカルチャーへの返答 =“日本には安室奈美恵がいる”という表明だ。 しかも、“全曲新曲&ノンタイアップ”でシングルが1曲も収録されていないにも関わらず、オリコン・ウィークリー・ランキング1位を獲得したアルバム作品であることにも注目したい。まさに内容=クオリティの高さで評価されたアルバムなのだ。
まずは楽曲のファースト・インプレッションを列挙しよう。
アルバムは、英語詞による1曲目「Photogenic」から超絶クールにスタートする。2曲目「Time Has Come」は、ハードなイントロダクションからエレクトロに疾走するピアノフレーズが神々しいダンスナンバー。3曲目「Golden Touch」は、スマホに最適化したセンス良きミュージックビデオが話題を呼んだ、日本語詞で歌われるオーケストラヒットのアクセントがたまらないキラキラ・ポップだ。
4曲目「Birthday」は、自身によるキュートなラップパートも魅力な、アタック感強いキックとシンセ・サウンドによる晴れやかな王道ポップソング。5曲目「It」は、弾けるポップテイストがコケティッシュなロックチューン。6曲目「Scream」は、絶妙なるビート感が快楽ポイント高いバレアリックなせつなポップ・エレクトロ。遊び心満載な7曲目「Fashionista」は、サビでの裏へ裏へと伸びていくメロディアスに突き抜けたポップネスがヤバい。
8曲目「Fly」で聴けるフリーキーなポップセンスの突き抜けっぷりも絶妙だ。9曲目「B Who I Want 2 B feat.U hum sneak it」では、なんと日本が誇るテクノロジー歌姫、初音ミクをフィーチャリングに迎えてギミッカブルにサイバーな世界観をクリエイトしている。なお、事前の全曲試聴では“シークレット”扱いとされていたが、表記されている“U hum sneak it”とは初音ミクのアナグラムだ。サウンドは、DiploとともにMadonnaの新曲を共同プロデュースするなど、UKアンダーグラウンド界で最注目の新鋭・SOPHIEが手掛けている。
10曲目「Stranger」は、骨太なビートにのせて軽やかな歌声が舞い踊るダンサブルなキラーチューン。11曲目「Every Woman」は、イントロからトリッキーなポップセンスでニヤッとさせてくれるライブ映えするナンバーだ。12曲目「Space Invader」は、デジタル風味全開なロッキン・ポップ。そして13曲目「Anything」は、インターネットのプラウザであるGoogle Chrom連動した最新鋭なミュージックビデオ作品が話題となった、大陸感あふれる浮遊センスが魅力的なエンディングに相応しい名曲バラードだ。
ラスト14曲目「What I Did For Love (David Guetta feat. Namie Amuro)」は、アンコール的にDavid Guettaの人気チューン「What I Did For Love」を、誰もがハンズアップしたくなるスペシャル・トラックとして歌い上げ、大団円をむかえている。
ここまで全14曲を一気に、第一印象をレビューしてきたが、聴くごとに発見のあるアルバムらしさあふれる作品であることは間違いない。混沌とした時代だが、迷わず突き抜けるサウンドと歌声によって、道無き道を光の羅針盤のように指し示す、日本のポップカルチャーのレベルを数段引き上げる傑作であることを報告したい。
安室奈美恵 オフィシャルサイト