GUが原宿にショールーミングストア サンプル陳列しネット購入促す
「ユニクロ」の妹弟ブランドで和製ファストファッションとして知られる「GU」(ジーユー)が2018年11月、東京・原宿にショールーミングストア「GU STYLE STUDIO」をオープンする。場所は、「ナイキ原宿」や「ソフトバンク表参道」の並びにある原宿クエストの2階(東京都渋谷区神宮前1-13-14)。売り場面積は180坪を予定する。
“オンラインとオフラインをつなぐ次世代型店舗”と銘打ち、店内にはウィメンズ、メンズのフルラインナップのサンプルのみを陳列。来店者にジーユーの良さを感じられ、さまざまなスタイリングのインスピレーションが湧くような仕掛けを用意。新しい着こなしに出合える体験も提供する。
注文や自身のスマートフォンなどからジーユーのオンラインストアを通じて行うもの。決済は通常のクレジットカード払いや代金引換払い、後払い、店舗レジ払いやApple Pay払いなどが使用可能。受け取りは自宅や勤め先などの指定住所や、セブン-イレブンなどのコンビニエンスストア、店舗などが選べる。「原宿ではじまる、あたらしいファッション体験。あなただけのスタイルを楽しもう!」をテーマに、これまでよりももっと自由に、さらに楽しくお買い物できる店作りを目指すという。
柚木治ジーユー社長は「ファッション感度の高い原宿に店舗をオープンでき、大変うれしい。『GU STYLE STUDIO』は、ジーユーのブランドメッセージである『YOUR FREEDOM 自分を新しくする自由を。』を体現するお店として、お客さまに今まで以上に便利で、かつとてもワクワクする新しいファッション体験を提供していきたい」とコメント。
ショールーミングストアとしては、インディテックスの「ザラ」(ZARA)が六本木ヒルズ店の移転増床オープンに際して、近隣でポップアップストアとして5月9日~8月29日まで期間限定でオープン。商品サンプルだけ並べるために、高感度な空間の中でのショッピング体験が可能に。商品のバーコードを読み込み、そのまま購入ができたり、試着を希望した商品に対しては、フィッティングルームにすべてそろえた状態で呼び出しをしてくれるため、気軽に試着ができると好評だった。
ジーユーのデジタルストアとして有名なのは、昨年9月15日に横浜港北ノースポート・モール店だ。「ブランド史上最大級の品揃えと売り場面積となる初の超大型店」として、約820坪で出店。ビーコンと呼ばれる発信機に近づくと、カートに搭載したデジタルモニターにおススメコーディネートや購入者レビュー、在庫などが表示されたり、セルフレジを通常よりも多く導入していた。
ジーユーの標準店舗は200~300坪で、500坪タイプの大型店も増えている。今回の「GU STYLE STUDIO」はショールーミングストアにすることで、原宿という家賃が高く、大型物件が出にくい立地で180坪というコンパクトなサイズでの出店を可能にした。また、商品数や陳列量の多さにより雑多に見えがちな店頭も、ショールーミングストアにすることでブランドイメージの向上や、1点1点の商品価値の向上なども期待される。今後の出店計画や既存店舗へのサービス導入なども気になるところだ。
なお、ジーユーは2006年10月に1号店を出店。990円ジーンズのヒットで低価格を印象付け、前田敦子やきゃりーぱみゅぱみゅ、ローラらファッショニスタを起用することでファッション性やトレンド性のイメージも高めていった。2017年8月期の売上収益は約1991億円(前期比6.0%増)、営業利益が135億円(同39.0%減)で、既存店売上高は3.0%減と若干停滞期に入っている。2018年2月期上期決算も、売上収益1058億円(前年同期比8.3%増)、営業利益91億円(同23.3%増)。既存店売上高は微減収だった。ショールーミングストアは、2000億円ブランドとしての実力を蓄え、3000億円達成、さらには1兆円達成に向けた起爆剤になるか?