ヴィーガンレザー、マッシュルームレザーの名称はもう使えない 革・レザーの表記厳格化 #専門家のまとめ
環境や人権に配慮したサステナブルなモノ作りや、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが、ますます企業に求められるようになっています。どんな素材をいつどこで誰が作ってどのように生活者の手に届くのかといった追跡可能性(トレーサビリティ)や透明性(トランスペアレンシー)、そして、適切な情報開示を行う説明責任(アカウンタビリティ)を高めることが求められています。法律や業界団体などでのルール作りも進みつつあります。JISマークでおなじみの日本産業規格が、「革」「レザー」の用語規定を再定義したのもその一つです。どのように変わったのかを正しく知り、考えることで、エシカル消費やサステナブル消費、応援消費に役立てていただきたいと思います。
ココがポイント
▼「革」「レザー」は「なめした動物の皮」に限定。「人工的な材料の名称として使用してはならない」と定義
・「革」「レザー」の表記が厳格に JIS、動物由来に限定(WWDJAPAN)
▼日本の革と革のものづくりの魅力の発信者によるまとめnote。メディアの記事や業界関係者・クリエイターのSNSでの反応も紹介
・<JIS用語規定が変わってどうなる!?>「革」「レザー」の表記は動物由来に限定(belllens tokyoさんのnoteより)
▼表示問題を機に知っておきたい、「アニヤ・ハインドマーチ」や「ビル・アンバーグ」が訴える革・レザーの価値
・「ヴィーガンレザー」は本当にサステナブル? その本当の意味とは(Forbes Japan)
エキスパートの補足・見解
JIS(日本産業規格)が今回再定義したのは、「革・レザー」は「皮本来の繊維構造をほぼ保ち、腐敗しないようになめした動物の皮」に限るということ。「仕上げ塗装や加工による表面層の厚さが0.15ミリ以下のものとすること」「人工的な材料の名称として使用してはならない」ともしています。
この背景には、動物愛護や気候変動対策・CO2削減などの目的で、非動物性の原材料を使用した素材が市場に急激に増加していることがあげられます。植物性由来の「ヴィーガンレザー」や「エコレザー」といった打ち出し方が多くなされたことで、レザーの用語が乱用され、生活者の人々に誤解を与えたり混乱を招いているとの懸念がありました。
今回の決定により、「ヴィーガンレザー」や、キノコ菌糸由来の「マッシュルームレザー」、果物の廃棄物などを使用した「アップルレザー」「グレープレザー」「オレンジレザー」、サボテン由来の「カクタスレザー」、人工皮革や合成皮革などの「フェイクレザー」も不適切な表現となり、使用できないことになります。
ちなみに、これらは「エコレザー」と呼ばれることもありましたが、今回の規定で、「皮革の製造過程で排水、廃棄物処理が法令を順守していることが確認された革」であり、「消費者と環境に有害な化学物質などに配慮した革」である場合にのみ、「エコレザー」と表現することができることになりました。
これらの商品を扱っている企業は、いち早く自分たちの商品を紹介するwebサイトやSNS、商品の下げ札やPOPなどを修正する必要があります。また、生活者の方々は、企業の対応や姿勢を、商品を購入する際の判断基準としていくことが求められます。購買は投票と同じ、支持表明という意味を持ちます。未来に持続可能(サステナブル)な企業はどこなのか、それを決めるのは、生活者の方々の購買行動にかかっているといっても過言ではありません。