「神戸ってホントに恵まれてる!」その良さを伝えるためにはどうする?【神戸市】
先日「神戸観光LINK CAFE」という、神戸観光局によるセミナーに、一般参加で申し込んで行ってきました。
日本酒と観光がテーマとなっていた今回。学びたいのは勿論のこと、最後に有名酒蔵の日本酒の試飲もあるということでワクワクしながらの参加です。
第一部は巽 好幸さんによる講演。日本の地球科学者で専門はマグマ学という傍、料理の世界にも精通しているというプロフェッショナルです。
「神戸の水」が生み出す美食&美酒というテーマで、神戸がどれだけ恵まれた土地であるのかを話して下さったのですが、それは300万年前から続く「断層の活動」から始まりました。
六甲山の隆起と大阪湾の沈降によるかなり独特な地形、それによって神戸には2種類の水があるそうです。六甲山に降る雨が軟水となり、麓には硬水が湧くというとても稀な「水の街」なのが神戸。その水が料理はもちろん、灘五郷を始めとした日本酒の味のバリエーションを広げたというから凄いですよね。
第二部は、3つの酒蔵の方々によるお話。大切な部分は共通して持ちながらも、それぞれにチャレンジしていることがあって、お話の中から今現在の日本酒の背景が浮かんできました。それは各商品の特徴からも見て取れます。
ということで、待ちに待った試飲の時間がやってきましたよ。試飲しながら第二部の講演の内容を振り返っていきますね。まずは菊正宗酒造から。この日は日本酒の味わいを色んな角度から楽しめる、さすが老舗と唸らされたラインナップでした。
日本で約25%の清酒を灘五郷で作っているというお話から、六甲山からの急流で水車を使い精米をしてお酒を作っていた事や、灘の港から「樽廻船」という船で、酒を杉樽に詰めて江戸まで届けていたという長い歴史の物語が伺えました。
生酛(きもと)とは、江戸時代に日本独自で開発されたバイオテクノロジーであって、科学的根拠もないような中で生酛が考案されたことが驚きでもあり、素晴らしいものなのだと。
そんな酒造りをやっている灘五郷の各酒蔵を見学して、ぜひあれこれ試飲して欲しいと力強く語られていました。老舗の方々が率先して、こういう風に酒蔵同士で支え合おうというような姿が本当に素晴らしいですね。
この日の会場となった「神戸酒心館」からは、代表で13代目の安福武之助さんが登壇。日本酒「福寿 純米吟醸」は国際的コンクールで金賞、ノーベル賞公式行事で提供される日本酒としても注目されています。
国際的評価の裏側には、味の良さだけではなく環境に対して持続的な生産ラインがあるという事もあり、世界初となる「カーボンゼロ」の日本酒も誕生したそうです。
酒米作りを通して有機農業への取り組みから酒瓶の再資源化まで、お酒を取り巻く全体を一つのものと考え、未来に向けて取り組んでいる福寿。
その味わいはクセが少なめのまろやかな飲み口で、海外の方にも喜ばれるフルーティーなテイスト。このお酒をきっかけに海外で日本酒人気が更に上昇していくことの想像がつきます。
最後に白鶴酒造の若手社員によるプロジェクト「別鶴」。若い世代に日本酒をもっと飲んで欲しいという熱い想いで、日本酒のイメージそのものから全体的に変革することにチャレンジしています。
例えば甘酸っぱく軽い飲み口で、レモングラスのような香りの日本酒。これらは白鶴の長い歴史の中でそのまま眠っていた400以上の酵母ライブラリより、掘り起こされた酵母から誕生した新たな日本酒です。
クラウドファンディングで応援者を集め、ファンを作るなど新しい方法での取り組みからもじわじわと浸透している「別鶴」。お酒離れした若者に対して、楽しくお洒落に飲むという「ファッション」的な視点や、ライフスタイルそのものからも提案をしているそうです。
そういった日本酒の後ろにあるそれぞれの物語を、観光客を受け入れる側としてしっかりと理解して、伝えていく必要がある。その為の勉強会といった今回のセミナーでした。
神戸を、ただパッと見て通り過ぎられるような街にしたくはない。そこに関わる地元の人々から物語を伝え聞くことでその良さや深みに気づいてもらい、もう一度行ってみたいと思われる場所にしよう…これは私たち神戸市民ひとりひとりにもできることかも知れません。
各酒蔵での試飲や見学も行われているので、皆さんもぜひ神戸の日本酒、その奥にある物語を覗きにいってみてはいかがでしょうか。恵まれた神戸の環境や知らなかった世界に触れて驚き、誰かに話したくなるかも知れませんよ。
灘五郷酒蔵めぐり モデルコースのご案内 (外部リンク)
酒心館のサイト (外部リンク)
灘五郷酒造組合のサイト(外部リンク)
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