ノート(134) 弁護側の冒頭陳述と検察側が法廷で示した証拠
勾留174日目(続)
弁護側による冒頭陳述の意義
検察側による冒頭陳述要旨の読み上げが終わると、次は弁護側のターンだ。
事実関係を認めている事件の場合、弁護側がわざわざ冒頭陳述を行うことのほうが珍しい。そうした事件では、検察側は必ず冒頭陳述を行わなければならないものの、弁護側については裁判所が許可した場合に限られるからだ。
それでも、容疑を否認していたり、情状面に争いがあるなど、公判前整理手続を実施した事件の場合、弁護側も冒頭陳述を行うことが義務付けられている。むしろ、裁判員制度の導入を機に、検察側に対抗して弁護側が独自のストーリーを裁判所に示すことが通例となってきている。
冒頭陳述で検察側のストーリーだけが示されると、事件や被告人について偏った見方をされるおそれもあるが、これと対峙する弁護側のストーリーを提示すれば、慎重に検討しようという姿勢につながることが期待できる。
といっても、公判前整理手続の中で検察側が冒頭陳述の叩き台となる証明予定事実記載書を提出しているように、弁護側も同じく叩き台となる予定主張記載書面を提出している。
その意味では、初公判で弁護側がどのような冒頭陳述に及ぶかは、裁判官も検察側もあらかじめ予想できるというわけだ。
冒頭陳述の内容
僕の裁判では、主任弁護人が立ち上り、弁護側の冒頭陳述を行った。
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