Yahoo!ニュース

単身世帯と二人以上世帯で違いはあるのか否か…外食の利用性向をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
調理も片付けもしなくて済む、お手軽なお食事、外食(写真:アフロ)

外食利用は月に単身世帯で6.6回・二人以上世帯7.2回

食のアウトソーシングとの観点では便利で合理的な外食。最近では中食に押され気味との話もあるが、有意義な食生活の一様式に違いない。その外食の利用性向に関し、世帯種類別の違いも合わせての実情を、総務省統計局による家計調査の結果(年次分は2022年分が最新)から確認する。

二人以上世帯の場合は外食の下層区分に一般外食と学校給食が存在する(単身世帯は外食のみ。世帯主本人が学校給食を摂るケースは想定し難い)。そこで今回は一般外食に限定する(今記事のグラフでは表記を「一般外食」に統一する)。さらにはその下層区分に含まれるハンバーガーや他の主食的外食を代表的な細部項目として取り上げる。具体的な内容は次の通り。

・一般外食…飲食店における飲食。飲食店(宅配すし・ピザを含む)により提供された飲食物は、出前、宅配、持ち帰りの別にかかわらず、すべて含まれる。ただし学校給食やまかないは除く。

・ハンバーガー…セットも含む。ファストフード店に限る。

・他の主食的外食…そば、うどん、ラーメン、パスタ、寿司、和食・中華・洋食各種、ハンバーガー「以外」の外食。例えばドーナツセット、お好み焼き、ピザパイ、お子様ランチ、会社での食事代。ファミレスでの食事も該当する。

まずは月あたりの世帯購入頻度(※)。単身世帯は当然本人自身のみだが、二人以上世帯の場合は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いでの調達までは「家計」としてカウントできないので、「世帯全体のお財布から買った」もののみ)購入した世帯として該当することになる。

↑ 外食全般と主要品の世帯購入頻度(月あたり、世帯種類別)(2022年)
↑ 外食全般と主要品の世帯購入頻度(月あたり、世帯種類別)(2022年)

月あたり単身世帯は平均で6.6回、二人以上世帯は7.2回ほど(一般)外食を利用している。上記説明にもある通り、実質的には宅配、中食(的なもの)も含まれるので、感覚的にはあながち的外れでもあるまい。他の主食的外食の利用頻度は単身世帯の方が多く、一人暮らしの食生活事情が透けて見える。

ハンバーガーは月ベースで1回足らずと少なめな値。しかし今件は単身世帯全体・二人以上世帯全体における結果であり、若年層だけでなく高齢世帯も含まれていることを思い返せば、理解はできる。

前年比を算出すると次の通りとなる。

↑ 外食全般と主要品の世帯購入頻度(前年比、世帯種類別、ppt)(2022年)
↑ 外食全般と主要品の世帯購入頻度(前年比、世帯種類別、ppt)(2022年)

前回年となる2021年の値と比較すると、ハンバーガー以外は増加。特に二人以上世帯の一般外食での増加が著しい。新型コロナウイルス流行により外食店の営業時間短縮や休業が行われ、イートインでの食事自粛が求められた2021年と比べると、少しは外食に人が戻りつつあるということだろうか。もっとも新型コロナウイルスの流行状況そのものは、2021年も2022年もさほど変わりはないのだが。ハンバーガーに関しては、事実上誤差のレベルで、前年比変わらずと見てよいだろう。テイクアウト品の需要が大きく伸びた2021年と比べ、さほど伸びる環境下になかったということか。

支出金額ベースで確認

これを支出金額ベースで見たのが次のグラフ。一応二人以上世帯では比較のために一人あたりの値も試算して、グラフを併記しておく。「一応」としたのは人数のカウントには子供も含まれるため、それを合わせた上での平均化の値は、成人が対象となる単身世帯とは、厳密な上での比較はできないからである。

↑ 外食全般と主要品の支出金額(月あたり、世帯種類別、円)(2022年)
↑ 外食全般と主要品の支出金額(月あたり、世帯種類別、円)(2022年)

↑ 外食全般と主要品の支出金額(月あたり・一人あたり、世帯種類別、円)(2022年)
↑ 外食全般と主要品の支出金額(月あたり・一人あたり、世帯種類別、円)(2022年)

世帯ベースでは単身世帯より二人以上世帯の方が高い値を示している。しかし一人あたりの金額で比較すると、すべての区分で単身世帯の方が高い値となる。いかに単身世帯の食生活が外食(中食含む)に支えられているか、その少なからずが他の主食的外食、具体的にはファミレスなどによるものなのかが分かる。また、ハンバーガーは世帯全体としては、まだその他の食品レベルの頻度でしか食べられていないようだ。

前回年となる2021年からの変移は次の通り。

↑ 外食全般と主要品の支出金額(前年比、月あたり、世帯種類別、円)(2021年)
↑ 外食全般と主要品の支出金額(前年比、月あたり、世帯種類別、円)(2021年)

世帯種類を問わず増加を示している。新型コロナウイルス流行の影響で外食が避けられた前年と比べ、回復の動きを見せているのだろうか。もっとも、例えばハンバーガーのような事例(世帯購入頻度は減っているが支出金額は増えている)を見る限り、商品価格の値上げも少なからず影響しているようだ。

外食の利用機会、支出金額が増加しているのは、先行記事で言及の通り、中食の利用拡大と併せ、食事のアウトソーシングの傾向が強まっていると考えてよいのだろう。時間や手間を対価で手に入れる手法が外食なり中食であるというまでの話ではある。また2022年の動向は、新型コロナウイルスの流行により大きな影響を受けた外食産業が、少しずつ回復していると見てよいだろう。

■関連記事:

【朝食は ご飯とパンが ほぼ均衡 二十歳の男性 5割が「ご飯だ!」】

【お米はすでに日本人の主食で無いのか】

※世帯購入頻度

世帯単位での該当期間の購入頻度。例えば特定の世帯において該当期間に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯における雑誌の世帯購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事