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北欧でも新型コロナウイルス 同日にノルウェーとスウェーデンで感染確認

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
(提供:Alissa Eckert, MS; Dan Higgins, MAM/CDC/ロイター/アフロ)

※記事を書いている途中で、感染者が出たという報道が入ったので、最後までお読みください

イタリアでの報道によると、イタリアに住むノルウェー人の学生が新型コロナウイルスに感染しました。

ノルウェー公衆衛生機関はこれを認めており、学生はイタリアの医療機関で治療を受けています。

ノルウェーではまだ感染者は出ていませんが、イタリアでは感染者の学生は1週間前にはノルウェーにいたと報道されています。ノルウェー公衆衛生機関は、学生がノルウェーに一時帰国していたかを確認できていないとしていました。

ノルウェー公共局NRKは夕方のニュース番組で、学生がノルウェー人の男性で26歳、現在はフィレンツェの病院に入院しており、14日前にはフィレンツェに戻る前にノルウェーに一時帰国していたと報道しています。重体ではないそうです。

同じくして、隣の国スウェーデンでは、イェーテボリで2人目の感染者が確認されました。感染者はイタリアから戻ってきて3日後に発熱したと報道されています(スウェーデン公共局SVT)。

感染者は30代のスウェーデン人男性で、現在は他の患者とは隔離された状態で、病院で健康観察がされています。男性と接触した人の確認が行われており、該当者には連絡がいくと報道されています。

ノルウェーでは薬局でマスクがほぼ完売していると伝えられています。

ただ、私が見る限りでは、ノルウェーではマスクをしている人を街で見かけることはありません。先日はたまたま大きな病院内を歩いていたのですが、マスクをしている医療者も患者もいませんでした(日本と違い、この国では日常的にマスクの使用は普通ではなく、花粉症や風邪などでもマスクはしません)。

ベント・ホイエ保健・ケアサービス大臣は、「手を洗うように」国民に呼び掛けています(NRK)。

ノルウェーとデンマークではまだ感染者はでていませんが、フィンランドとスウェーデンでは感染者が確認されています(デンマーク公共局DR)。

ノルウェー公衆衛生機関は最新のレポートで、ノルウェーで感染者が出るリスクは非常に高く、国内で感染者が出た場合、拡大は止められず、対応策なしでは人口の70%が感染する恐れがあるとしています。

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この日は、北欧諸国で感染者が増える予感を感じさせる雰囲気が漂いました。

ノルウェー人学生がイタリアで感染したニュースが流れた後、スウェーデンでは感染者が出たと報道。この日の夜、感染者が出たスウェーデンのヴェストラ・イェータランド県は病院で記者会見を開きました。その様子が北欧各国で報道されていた直後、ノルウェー公衆衛生機関も緊急で記者会見を開催。

この記事をここまで書いている時は、「ノルウェーでは感染者はゼロ」だったのですが、公衆衛生機関は夜21時の記者会見で、ノルウェー人女性が感染したと発表しました。ノルウェーで最初の感染者となります。

女性はノルウェー北部トロムソ在住者で、中国に行き、週末にノルウェーに帰国していました。現在は健康で、自宅待機しており、公衆衛生機関は他の人に感染するリスクは低いと考えています(公共局NRK)。

トロムソは北極圏に位置し、オーロラを見ることができる人気の観光地です。

この後にトロムソ市は記者会見を開き、「女性は健康で、ひとりで自宅待機しており、他人に感染する可能性は低い」と、自治体の医者は繰り返しました。

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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