パラムーブメントの嵐のなかで。共生社会へクリエーターの叫びが響く!「チャレフェス文化祭」
「みんなが太陽」子どももマイノリティーも障害者も一人ひとりが太陽ーを合言葉に、チャレフェス文化祭2019〜未来へ〜Alive 2019(NPO法人チャレンジド・フェスティバル/齋藤匠代表・主催のイベント)が、10月18日(金)開幕した。障害のある人もない人も表現者として参加するこのイベントは、日々の営みに彩りを与える「エンターテイメント」を通じて、ここに集うことができない重度の障害のある人も含めて、勇気をもって共生社会を切り拓こうと発信した。
開場時間の18時をすぎると、新宿駅に近い会場(スペースゼロ;全労済ホール)の周辺には車椅子ユーザーや白杖を持った人々が現れ、つぎつぎに入場していった。オープニングの歌や演奏が行われ、トリノパラリンピック・アルペンスキー日本代表の野島弘さんのリードで台風19号の豪雨の被災者への黙とうが捧げられ、開会宣言。
2つのメイン・アクション
メイン・アクションは、障害のあるモデルによるファッションショー「Internal Sense」と、齋藤代表自らが主演を務めるオリジナルミュージカル「Alive2019」。
ファッションショーは、車椅子を乗りこなすモデルならではの美しい動きと個性豊かなデザインのコラボレーション。もし何らかの事故で車椅子になったとしても、かっこいい生き方ができるかもというヒントをもたらす。あらたな表現による「ファッション・リーダー」だといえるだろう。
オリジナルミュージカルの舞台はなんと、「ある池に棲むトンボの社会」。地球上の生物でもか弱い、しかし自由で強い意思のある虫のファミリーが、人間社会の開発の中で棲む場所を奪われ、人間への怒りと闘争心、そして圧倒的に大きな存在である人間への恐怖心をもちつつ突き進もうとする。葛藤やその先に見つけた小さな希望やその進展を描いている。
「あまりにも虫たちとの時間が心地よくて、つい台詞がとんでいってしまったシーンもあったんですよ」と舞台を終えた主演の齋藤代表はハプニングが幸せなインパクトだったことをうちあけてくれた。虫のコミュニティで起きた闘志とは、障害のある人々の共生社会への叫びと重なる。そんな絶望感の中でも、自分たちの「笑顔」を追求するうちに、虫たちのなかに人間への理解も芽生え、結果としてお互いに生きる社会を創り出していく。
初日のイベントを終えて写真撮影を担当したスタッフの山下元気さんは、「障害のある人は自分と照らし合わせて見ることができると思います。多くの人があきらめていくなかで、本当は何がしたいのか?どういう意思を示したいのか。同じ立場だから分かることがあると思った」と感想をくれた。山下さん自身も足に障害があり、車椅子で撮影していた。
また、司会を務めた生方龍馬さんは、車いすラグビーの選手としてスポーツの分野でも活動しているミュージシャン。「パワーを感じた1日。障害のあるなしは関係ないとおもった。いろいろなタイプの表現者がいる。いろいろ知ってもらいたい」と話していた。今回はオリジナルソングも披露した。
来年のパラリンピックを控え、わが国ではスポーツだけでなく、アート、パフォーマンス分野にも少しずつパラリンピックムーブメントによる発信が増えてきている。チャレフェス文化祭は、日常的に共生社会を願い切実な想いでめざす表現者たちが集い、叫び声をあげていた。
公演は、明日19日(土)に、12時からと17時からの2回を残している。トンボのコミュニティへ、ぜひ、訪れてみてほしい。
<参考>
チャレンジド・フェスティバル 公式サイト