千賀メジャー初登板を前に「もしもし拓也?」は? 午前2時40分開始「あぁ……、大丈夫でしょ千賀なら」
昨季の打撃不振の記憶をかき消すように、甲斐拓也捕手が開幕シリーズで打ちまくった。
まず3月31日の開幕戦は3打席目に左中間二塁打を放って今季初安打をマーク。4月1日の2戦目は3打席連続三振の後に迎えた打席で左前へ2点適時打を運んだ。
開幕3戦で打率.364、4打点
そして2日の3戦目は二回裏1アウト満塁の大チャンスでロッテ先発・美馬のフォークをコンパクトなスイングでとらえて、レフトの頭上を越える2点二塁打。さらに四回裏の打席でも左越え二塁打を放って、この日は4打数2安打2打点の活躍でチームの開幕3連勝に貢献。ヒーローインタビューにも呼ばれた。
3試合で11打数4安打の打率.364、4打点。
昨年は130試合に出場、323打数58安打で打率.180しか打てなかった。せめて長打があれば挽回できたのだが、1本塁打のみで前年まで3シーズン続けていた2桁本塁打にも遠く及ばなかった。
自然体で構える
藤本博史監督は「自然体で構えてるでしょ。だからスムーズにバットが出てくる」と評価した。昨季は打席の中で腰をぐっと折り曲げて、屈むように構えていた。その字の如くやや窮屈な打撃となっていた。
甲斐は3連戦を戦い終えた後の取材で「去年の終盤から今のような形で構えて、自分の中でもいいとは思ってます。ボールの見え方も、力の伝わり方もいい。それを自主トレから続けてやってきてますし、しっかり続けていこうという話を監督ともしているので、良い結果につながっているのは僕自身も良かったなと思ってます」と話した。
リードでも3連勝に貢献
本職のキャッチャーの守りでも、1、2戦とロッテ打線を完封し、3戦目も五回まで相手に得点を許さなかった(5-3での勝利)。なお開幕から23イニング連続無失点は南海時代の1953年の球団記録に70年ぶりに並ぶ記録だった。開幕3連勝という結果に正捕手としても充実感を漂わせていた。
千賀から「モーニングコール」?
ところで、今夜というか明日未明、午前2時40分プレーボールの試合でニューヨーク・メッツの千賀滉大投手が先発してメジャー初登板を果たす。
千賀は現地での取材で「結構見てくれるとは思いますし、仲のいい人で見てくれないって言ったら、たたき起こします」と話したと報じられている。
育成ドラフトの同期・同学年の2人は名バッテリーという枠を飛び越えて、親友のような存在。昨年、千賀が海外FA権行使を表明した際にも「もちろんホークスの一員としては千賀にいてもらわないといけないのは間違いない。だけど、友達として背中を押してあげたいです。友達として、そういう(夢に挑戦する)姿も見てみたい」と語っていた。
また、縁とは不思議なもので、千賀のデビュー舞台はWBCの準決勝・決勝が行われたローンデポ・パーク(マーリンズ戦)だ。
取材の最後、その話題に。
「え、2時40分プレイボール? あぁ……、大丈夫でしょ千賀なら」とはにかんだ。
電話があるらしいと質問が飛ぶと、
「かかってこなかったら逆に問題ですよね(笑)。かかってきたら出ますよ。でもね、まぁ大丈夫だと思います。本当に長いシーズンになると思うんで、そこは怪我なくやってもらいたい。見るかどうか置いといて」
そのようにはぐらかすと「寝てしまえば、試合を見るために起きることはないです。明日休みですけど、テレビでやるのかな~、映るかな~。結果を楽しみにします」と言葉を継ぎ、この日一番の笑顔を浮かべていた。