ソフトバンク松本晴、WL同僚・藤浪晋太郎がくれたヒント「まずはストライクを」で“13.50”大躍進
日本球界で希少な“剛球サウスポー”の卵が、海外武者修行でさらに確かな手ごたえを掴んだようだ。
ソフトバンク・松本晴投手が中南米のプエルトリコから17日に帰国した。同国でのウィンターリーグに11月上旬から派遣されていた。現地では6試合(うち5先発)に登板。21回1/3で32三振を奪う力投を見せるなど、3勝2敗、防御率3.38の成績を収めた。
「自信というか一皮むけてきました。レベルアップできたと思います」
シーズン中に激変、150キロ左腕に
松本晴は亜細亜大学からソフトバンク入りして、今年が2年目だった。今季は春先に右ハムストリングを痛めてしまい約3か月のリハビリを余儀なくされたが、この期間が松本晴に劇的な変化をもたらした。
「考える時間が長かったので、1日中野球のことばかりを考えていた。どうすればロスなく投げられるか。それをキャッチボールで試して、そして実戦の中でどうすれば球速を伸ばせるか。それをやって試行錯誤しました」
プロ1年目は140キロ台中盤が出れば良い方だった。それが3か月のリハビリを経て7月に復帰すると、4軍戦の登板で150キロの直球を投げ込んでみせた。
8月18日に1軍今季初昇格を果たすと、同日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)で5回2安打無失点と好投してプロ初勝利をマーク。5試合2勝1敗、防御率2.81の成績を残し、さらなる飛躍を期待されて、日本シリーズ後にプエルトリコ・ウィンターリーグへ派遣されていた。
現地では「ヒガンテス・デ・カロリーナ」に所属。このチームでは、今季ニューヨーク・メッツでプレーして現在FAとなっている藤浪晋太郎投手と同僚になった。
「アメリカの野球の中で大事にされているデータの話とか、その中で球速って一番大事な要素だという話とかもしてもらいました。でも、まずストライクゾーンに投げないと意味がない。打たれるか打たれないのかは運。速い球をストライクゾーンに投げるのを一番大事にしてると言われていました。なので、まずはストライクゾーンに強い球を投げるのを自分もテーマにしています」
調整中のブルペンで隣同士で投げたこともあった。
「もう自分のボールはハエが止まるようなボールにしか見えない。えげつない。ミサイルみたいな球を投げてた。自分もそういうボールを投げられるようになっていかないと。もっと高いレベルで日本で活躍していくためにそこを求めてやっていきます」
そんな刺激を受けながら、プエルトリコでは「13.50」の奪三振率をマーク。また、21回1/3を投げて与四球は4つしかなかった。
「メンタル的なところも課題にして成長したし、トレーニングもしっかりできた。フォームもより効率的に無駄なく。球速も最後の3試合はすごく出たというか、今までは思いっきりで腕を振って150キロが1球出るぐらいだったけど、150キロが今までより簡単に出る感覚がありました」
和田引退&石川移籍も、上沢加入でローテ争いし烈
来季3年目へ、自主トレでソフトバンクのエースの有原航平投手に弟子入りを直訴して快諾を得たという。
ソフトバンク先発陣は、和田毅投手の引退や石川柊太投手のロッテ移籍があったものの、18日には上沢直之投手(レッドソックス傘下3AウースターからFA)の獲得が正式に発表された。若手が入り込むのは相変わらず簡単ではなさそうな状況だ。
「自分は自分のことをやるだけ。自分が良くないとチャンスはもらえない。まずは自分がすごくいいパフォーマンスを出すこと。毎試合毎試合、自分をベストコンディションにもっていって、自分のベストパフォーマンスをして、それで使っていただけたらって感じなので。その準備をシーズンオフからやっていきたいです」
今時の若者にしては珍しく、ギラついた感を隠さない左腕。3年目の大ブレイクへの自信が胸の中にはありそうだ。