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なぜ「DH賞」は大谷翔平で「シルバースラッガー」はヨーダン・アルバレスなのか。昨年は大谷が両方受賞

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Sep 19, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、前年に続き、最も優れたDHに与えられるエドガー・マルティネス賞に選出された。一方、シルバースラッガーのア・リーグDH部門は、2年連続受賞とはならなかった。今年は、ヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)が選ばれた。

 エドガー・マルティネス賞は、ア・リーグがDHを導入した1973年に、アウトスタンディング・デジグネイテッド・ヒッター・アウォード(DH賞)としてスタートし、2004年にエドガー・マルティネスの名を冠した。ビート・ライター、ブロードキャスター、球団広報の投票により、受賞者が決まる。シルバースラッガーは、1980年から。こちらは、監督とコーチによる選出だ。

 今シーズン、大谷は、打率.273と出塁率.356、34本塁打、ISO.246とOPS.875を記録した。一方、アルバレスは、打率.306と出塁率.406、37本塁打、ISO.306とOPS1.019だ。ちなみに、ナ・リーグのDH部門でシルバースラッガーを受賞したジョシュ・ベル(現FA)は、打率.266と出塁率.362、17本塁打、ISO.156とOPS.784だった。

 スタッツからすると、シルバースラッガーだけでなく、エドガー・マルティネス賞も、アルバレスが受賞するのが順当のように見える。wOBAやOPS+なども、アルバレスが大谷を凌いでいる。

 ただ、大谷は、DHあるいはDH&投手として153試合に先発出場した。アルバレスの先発出場は、DHが77試合とレフトが56試合だ。この点が、エドガー・マルティネス賞を逃した理由ではないだろうか。

 監督やコーチは、どのポジションで出場したのかに、あまり注意を払わなかったのかもしれない。ナ・リーグのDH部門でシルバースラッガーに選ばれたベルは、DHの先発出場が31試合しかなく、あとの120試合は一塁手として出場した。夏のトレードでワシントン・ナショナルズからサンディエゴ・パドレスへ移るまで、DH出場はゼロだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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