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「『プーチンはモスクワにいる』とスプートニクが合成写真で訴えた」は誤り。ジョークアカウントの投稿

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
話題になっている投稿。ジョークアカウントによるもの。Twitterよりキャプチャ

 ロシアのスプートニク通信社が「プーチンがまだモスクワにいる証拠だ」として投稿した写真が合成されたものだと多くのツッコミが入って拡散していますが、投稿は本物ではなくジョークアカウントによるものです。

そっくりアカウントが「プーチンがまだモスクワにいる証拠だ」と合成写真を公開

 問題の写真は6月24日、スプートニク通信社の公式アカウントにそっくりなアカウントが「クレムリンが噂を否定。プーチン大統領がまだモスクワにいる証明として写真を公開」との文面で公開したものです。

 写真はプーチン大統領がモスクワ中心部にあるクレムリンの扉のあいだに立っているものですが、プーチン大統領の足のあいだに花壇が写っており、外で撮影したプーチン大統領を扉のあいだに合成したものだとわかります。

足のあいだに消し忘れに見えてしまうような花壇が写っている。Twitterに投稿された写真の一部を筆者が拡大。
足のあいだに消し忘れに見えてしまうような花壇が写っている。Twitterに投稿された写真の一部を筆者が拡大。

 あまりにもわかりやすい合成っぷりだったため、この写真に対して海外はもとより日本のアカウントからも多くのツッコミが入りました。

 しかし、この写真を投稿したアカウントはスプートニク通信社のジョークアカウントです。

アカウントのIDは「@Sputnik_Not(スプートニクではない)」

問題のアカウント。「本物ではない」と説明している。Twitterよりキャプチャ
問題のアカウント。「本物ではない」と説明している。Twitterよりキャプチャ

 問題のアカウントのIDは「@Sputnik_Not」であり、そのまま読めば「スプートニクではない」となります。

 また、アカウントの説明文にも「Not the Sputnik news agency(スプートニク通信社ではありません)」とあり、ジョークアカウントであることがわかります。

Twitterではパロディアカウントは許されている

 Twitterでは対象としているアカウントとは関係がないことをアカウント名とプロフィール欄に明記すれば、パロディやファンアカウントを作ることは利用規約で認められています。

 つまりはこの合成写真の投稿も合法というか、パロディのひとつとして許されているものです。

多くの日本のアカウントが取り上げ、合成写真が事実として拡散

 問題は説明を読む気がない、または面白いと思って乗っかった人たちが、ジョークアカウントであることを伝えずに「プーチン大統領がまだモスクワにいる写真は合成w」とただ面白がったため、「スプートニク通信社が合成写真でプーチンがロシアにいるかのように見せかけている」と勘違いする人が多く出てしまっていることです。

 これまでの文章で説明してきたように、この合成写真はジョークアカウントが投稿したものであり、本物のスプートニク通信社が投稿したものではありません。ご注意ください。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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