数百万年前に天の川銀河中心で起きた特大爆発がヤバイ
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「数百万年前に天の川銀河中心で起きた大爆発」というテーマで動画をお送りしていきます。
数百万年前と、私たちには遥か昔に思えるものの、宇宙規模で言えばかなり最近ともいえる時期に、天の川銀河中心部は今とは比較にならないほど明るく輝いていたかもしれません。
今回はかつて天の川銀河中心部で起きた大爆発現象について紹介していきたいと思います。
●天の川が爆発していた
今でこそうっすらとしか見れない天の川ですが、最近の研究によって遥か昔の天の川はもっと明るかったかもしれないと考えられるようになっています。
2010年に、私たちの太陽系が属する天の川銀河の中心を挟み込むように上下に広がる巨大なガス球が発見されました。
ガス球からは高エネルギーのガンマ線が放たれています。
このガス球は、これを発見したガンマ線観測望遠鏡であるフェルミガンマ線望遠鏡の名前から、「フェルミバブル」と名前が付けられました。
フェルミバブルは非常に巨大で、上下の球がそれぞれ直径2.5万光年にもなり、上下合わせて5万光年の範囲に渡って広がっていると考えられています!
フェルミバブルの起源は、天の川銀河中心部の、質量が太陽の430万倍も重い超大質量ブラックホールいて座A*であるという説が有力となっています。
今でこそ活動が穏やかな天の川銀河の銀河核ですが、昔は非常に活発であったと考えられるようになっています。
フェルミバブルが形成された年代については諸説ありますが、一説によると今から約350万年前、いて座A*に太陽の10万倍もの質量に相当する水素ガスが流れ込み、その反動でブラックホールは銀河の上下方向に向けて超高エネルギーのガスをジェットとして噴出したそうです。
その総エネルギーはなんと超新星爆発の10万倍にも相当するものだったそうです!
それだけ当時の天の川銀河中心部は活発であったことが、フェルミバブルの観測から推測することができます。
初期人類であるアウストラロピテクスが誕生したのは今から400万年ほど前とみられているため、彼らは350万年前、極めて明るく輝く爆発現象を地球から肉眼で目の当たりにしていた可能性がある、というわけですね。
また別の一説によると、仮にフェルミバブルが爆発的に形成された場合、天の川は今の1億倍も明るかった可能性もあるそうです!
●マゼラン雲まで輝いていた!?
さらに350万年前の天の川銀河核のジェット放射はなんと銀河核から遥か20万光年も離れた「マゼラニックストリーム」という構造にも到達していたそうなんですね!
マゼラニックストリームとは、大マゼラン雲と小マゼラン雲という天の川銀河の周囲を公転する伴銀河から伸びる超巨大なガスの帯です。
天の川銀河の重力によってマゼラン雲本体から引き延ばされてしまったと考えられます。
天の川銀河核から放たれたジェットは放射方向に遥か20万光年も離れたマゼラニックストリームにも達し、高温によってマゼラニックストリームのガスを電離させ、100万年にもわたって明るく輝かせていたそうです。
このマゼラニックストリームの発光は、地球からでも肉眼でぼんやりと見えた可能性があるようです。
光害がないこと、天の川銀河の爆発的発光に加え、マゼラニックストリームの発光も楽しめたと考えると、初期人類が経験していた夜空は今とは比べ物にならないほどダイナミックで美しかったのかもしれませんね!
●さらに巨大な新構造
そしてさらに全天をX線によって観測した結果、天の川銀河の上下方向に向かってフェルミバブルよりもさらに巨大な泡状構造が広がっていることが判明し、2020年12月に発表されました。
2020年6月、X線宇宙望遠鏡Spektr-RGに搭載されている観測装置「eROSITA」によって、全天のこれまでにないほど詳細なX線分布が作成されました。
現在映っている画像はその時公開されたものですが、天の川中心部から上の方向に巨大な泡状の構造が広がっているのがわかります。
ですが最新の観測によって北極方向と同様の構造が南極方向にも広がっていることが判明し、このことからX線で観測されたこれらの泡状構造も、フェルミバブルと同様に天の川銀河の上下方向に広がる巨大構造ではないかと考えられました。
今回の新構造はeROSITAバブルと呼ばれていますが、eROSITAバブルが本当に天の川銀河の中心部から広がる構造だった場合、その大きさは上下に約4.5万光年もなり、フェルミバブルを超える超巨大構造ということになります!
そして天の川銀河の円盤の直径が約10万光年なので、バブルの上下だけで円盤サイズに匹敵する大きさを持つことになります。
本当にとてつもないスケールです…
このように現在では、天の川銀河中心部のブラックホールいて座A*がかつて活発に活動していたという証拠がいくつも発見されています。
現在でこそ大人しいブラックホールとして知られていますが、宇宙規模で言えばかなり最近にこれだけ活発だったことから、今後も宇宙規模では遠くない未来に銀河中心部が再び輝きだす日が訪れるのかもしれませんね。
とはいえ人類規模で言えば遥か遠い未来なので、その頃も人類が存続していれば、生きている人たちが本当にうらやましいですね。