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ひとり旅におすすめ! ソロ温泉で訪ねたい「箱根の共同浴場」3選

高橋一喜温泉ライター/編集者

東京からのアクセスもよいことから、箱根は多くの観光客が訪れる人気の温泉地である。

一方で、ひとり旅では訪れるには賑やかすぎて抵抗を感じる人も多いだろう。だが、箱根には観光客があまり訪れない、激シブで素朴な共同浴場が今も健在だ。ひとりで静かに温泉を愉しむには打ってつけの環境である。

そこで、ソロ温泉で訪ねたい箱根の共同浴場を3つ紹介したい。

弥坂湯

箱根湯本駅前の土産物屋が軒を連ねる賑やかな温泉街を横切り、早川にかかる橋を渡る。弥坂という急坂を登りきり、箱根旧街道にぶつかると、「弥坂湯」が見える。1951年(昭和26年)の開業以来、地元の人々を癒やしてきた共同浴場である。

いかにも共同浴場といった風情の建物は、いい具合に鄙びている。観光客の多くは、存在に気づくことなく、素通りしてしまうだろう。木をふんだんに使った番台も味わい深く、昭和の時代にタイムスリップしたかのようだ

浴室の中央に、まん丸の湯船がぽつんとある。青く細かいタイルが敷き詰められた湯船は、絵になる美しさである。

透明な湯は、100%源泉かけ流し。たえず新しい湯が投入され、湯船からあふれ出ていく。泉質は、アルカリ性単純温泉。くせのないやさしい湯だが、ほんのりと温泉らしい匂いがする。箱根湯本では、湯を循環ろ過している旅館や温泉施設も少なくないが、弥坂湯では本物の湯が楽しめる。

太閤湯

ヘアピンカーブで有名な大平台の坂を過ぎると、箱根のランドマークともいえる建物が姿を現す。明治11年(1878年)創業の富士屋ホテルである。

和洋折衷の建物の雰囲気も人気の秘訣。かつてはチャップリンやヘレン・ケラー、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻など、海外のVIPも宿泊した伝統あるホテルだ。

富士屋ホテルの目の前を走る国道1号線はいつも交通量が多いが、ほとんどの人はホテルに目を奪われる。しかし、実は富士屋ホテルと道路を挟んだ反対側に、小さな温泉がひっそりと佇んでいる。その名は「太閤湯」。

小さめの湯船には、透明な湯がなみなみと注がれ、激しくあふれ出す。特徴は源泉がとてつもなく熱いこと。83度もある。源泉の注ぎ口に手をあてると、やけどしそうなほど。

おそるおそる湯船に体を沈める。ちょっと歯を食いしばれば、なんとか入れるくらいの熱さ。3分も浸かっていると、たちまち汗がだらだらと流れ出す。だが、一度つかってしまえば極楽。あつ湯好きにおすすめの温泉である。

姫之湯

大平台も旅館などが並ぶ温泉地である。温泉が湧いたのは、昭和27年まで遡るが、施設自体はちょっとした旅館ともいえるほどの立派な建物で、清潔感もある。

地元客が中心で、浴室では世間話に花が咲いている。湯船は6~7人が入れる円形のタイル張り。透明の湯がものすごい勢いで注がれ、湯船からあふれ出ていく。こちらの源泉から、周辺の旅館に配湯されるほど湯量豊富なのだとか。

源泉は65度以上のため加水しているが、それでも43度以上はありそう。我慢して一気に入ると、肌がピリピリ。体がしびれる感覚。

平静を装っていたつもりだが、地元の方から「熱いでしょう?」と心配される始末。熱い湯船につかっては、湯船の外で涼むのを繰り返すのが、姫の湯のスタイルのようだ。このような地元の人との交流も共同浴場の魅力である。

高橋一喜|温泉ライター

386日かけて日本一周3016湯を踏破/これまでの温泉入湯数3800超/著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)/温泉ワーケーションを実行中/2021年1月東京から札幌へ移住/InstagramnoteTwitterなどで温泉情報を発信中

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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