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今季NBA5試合に出場中の渡辺雄太に期待

林壮一ノンフィクションライター
11日、ブレイザーズ戦でウォーミングアップする渡辺(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 渡辺雄太は現地時間10日に行われたゴールデンステイト・ウォリアーズ戦に9分間出場し、ダンクシュートを決めた。また、ステフィン・カリーのレイアップをブロックした。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 渡辺が所属するトロント・ラプターズは、このゲームを105-106で落としたが、彼にとって今シーズン5試合目のプレーであった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今季初登場となった大晦日のニューヨーク・ニックス戦(100-83で勝利)では9分、4日のボストン・セルティックス戦(114-126で負け)では4分、6日のフィニックス・サンズ戦(115-123で負け)では16分、8日のサクラメント・キングス戦(144-123で勝利)では19分と、渡辺は、バスケットボール最高峰の舞台でのプレーを重ねている。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 渡辺はディフェンス力と左利きである点を評価されている。現地時間11日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦にも出場するかと、期待を込めて見守ったが、このゲームにおいては、出場機会がなかった。

11日、ラプターズは4Qで逆転負けを喫した
11日、ラプターズは4Qで逆転負けを喫した写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 プレスルームで知り合った韓国人フォトグラファーは、相好を崩しながら言った。

 「ヤオ・ミン(姚明)、ジェレミー・リン、そしてユータ・ワタナベと、アジア系選手がNBAで頑張る姿は嬉しいですね。大学レベルでも、なかなかアジア人のバスケットボール選手が好成績を収めるのは難しいけれど、彼らの存在は次世代に夢を与えます。

 今、韓国にも物凄く優秀な若いバスケットボール選手がいて、数年後にNBA入り出来るんじゃないかと言われているんです。彼をアメリカで撮影したいですね」

ヒューストン・ロケッツで活躍した229センチのセンター、ヤオ
ヒューストン・ロケッツで活躍した229センチのセンター、ヤオ写真:ロイター/アフロ

 身長229センチと、NBA選手のなかでも長身だったヤオは圧倒的なセンターだったが、191センチのジェレミー・リンは、Dリーグ(現Gリーグ)に何度か落とされながら、這い上がっている。しかも、渡辺が所属するラプターズの一員でもあった。

カリフォルニア州生まれで、アメリカ国籍を持つリン
カリフォルニア州生まれで、アメリカ国籍を持つリン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 リンがNBAで脚光を浴び始めた頃、客席からは無数の聞くに堪えない人種差別的なヤジが飛んだ。アジア人にバスケットボールが出来るのか? という目で見られた。

 だが、リンは「コートでは、たった一つのプレーでそれらを黙らせることが出来るんです」と、涼し気に語った。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 果たして渡辺はNBAに何を残すか。11日のゲームでラプターズは、トレイルブレイザーズに逆転負けを食らった。111-112の1点差であった。

11日、1点に泣いたラプターズ
11日、1点に泣いたラプターズ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ベンチから戦況を見詰める渡辺の姿や、ハーフタイムにシュート練習する様からは、ポートランドでもコートに立ちたいという思いが伝わって来た。彼の飛躍を期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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