ノート(81) 検察幹部に及んだ連座責任 官舎暮らしの苦労と現実
~回顧編(6)
勾留28日目
人それぞれの連座
この日から減塩食が始まった。もともと通常食も生活習慣病に配慮した減塩、減糖のものとなっていたし、減塩食でもおかず類は基本的に通常食と変わらず、汁物だけが薄味になった程度だった。
昼食時間には、いつもどおり、朝方に放送されたNHKラジオのニュース録音が流された。福岡高検検事長の三浦正晴さんが辞意を表明しており、いずれ何らかの懲戒処分が下されるだろう、とのことだった。厚労省虚偽証明書事件の捜査当時、大阪地検で検事正を務め、決裁官として逮捕や起訴を了承していた。
また、捜査段階から公判の終盤まで大阪地検で次席検事を務め、その後、大阪高検の次席検事となっていた玉井英章さんや、三浦さんの後任の検事正である小林敬さんには、「減給」という懲戒処分が決まっており、そのまま辞職する意向だ、とのことだった。
このほか、捜査段階から公判の終盤まで大阪高検で次席検事を務めていた太田茂さんには、一段低い「戒告」という懲戒処分が決まっているとのことだったが、小林さんらと違い、辞職するという話はなかった。
彼らに対し、捜査の初期段階から公判の終盤まで大阪高検で検事長を務め、郵便不正・厚労省事件全体を指揮していた中尾巧さんについては、元担当課長に対する無罪判決の3か月前に定年退官しており、「おとがめなし」で終わるとのことだった。検察関係者の間で「A級戦犯が詰め腹を切らずに上手く逃げた」などと陰口を叩かれているゆえんだ。
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