台風5号が小笠原諸島から八丈島近海へ6月の平均時速20キロで北上
発達しながら北上中の台風5号
日本の南海上を台風5号が時速20キロで北上中です。
台風が発達する目安の海面水温が27度ですが、小笠原諸島付近に接近するまでは海面水温が27~29度の海域の北上です。
このため、6月26日(土)には、中心気圧が975ヘクトパスカル、最大風速35メートル、最大瞬間風速50メートルまで発達すると予報されています(図1)。
小笠原諸島付近を通過した後は、海面水温が27度以下の海域を北上しますので、次第に中心気圧は高くなり、6月28日(月)には日本の東海上で温帯低気圧に変わる見込みです。
日本の南岸にある梅雨前線は、台風の北上とともに伊豆諸島付近のものは北上しますが、沖縄付近のものは停滞したままです(図2)。
梅雨前線は、ほぼ東西に延びる形から、南西から北東に延びる形に変わってきます。
このため、東日本から西日本の太平洋側は、台風5号の接近前から活発化した梅雨前線の影響による雨に注意が必要です。
しかも、台風の動きが時速20キロと、それほど速いわけではありません。
台風の進行速度
台風は上空の風に流されて移動しますので、上空の風が変化すれば、移動速度も変わります。
筆者が昔調べた台風の進行速度の調査では、緯度が高くなると台風の進行速度の平均は速くなります。
6月の場合、北緯25度付近なら時速20キロ、北緯30度なら30から35キロ、北緯35度なら40キロです(図3)。
台風5号の進行速度は、6月25日21時には北緯22.8度にあって時速20キロ、26日21時の予報では北緯26.5度にあって時速20キロ、27日21時の予報では北緯33.8度にあって時速35キロです。
つまり、台風5号は、平均的な進行速度で北上しているということができると思います。
また、同じ緯度でも夏季は遅く、秋が深まるにつれ、急速に速くなっています。
例えば、北緯25度付近にある台風の平均速度は、6月から10月であれば時速20キロ以下ですが、11月には約30キロ、12月には約40キロと速くなっています。
これは、秋が深まるにつれ、日本上空を流れるジェット気流が南下し、より強まることを反映しています。
長く続く雨
台風被害の大きくなる台風は、猛烈に発達した台風だけではありません。
動きの遅い台風や、近くに前線がある台風でも被害が大きくなることがあります。
動きの遅い台風は降雨時間が長くなることで大雨が降ったり、近くに前線がある台風は台風から離れた場所でも大雨が降ったりするからです。
台風5号の北上により、小笠原諸島では6月27日未明から早朝を中心に、伊豆諸島南部では27日昼過ぎから夕方を中心に暴風や大雨に厳重な警戒が必要です(図4)。
加えて、台風5号の速度がそれほど速くないことと、近くに梅雨前線がありますので、東日本から西日本の太平洋側、南西諸島では大雨に注意が必要です。
コンピュータの計算では、72時間予想降水量の多いところは南西諸島で、200ミリを超えていますが、台風の動きによっては、大雨が降る場所やそこでの雨量が大きく変わる可能性があります(図5)。
週末は最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。
タイトル画像、図1、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図2、図4の出典:気象庁ホームぺージ。
図3の出典:「饒村曜(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計(進行速度)、研究時報、気象庁」に筆者加筆。