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和服を着こなす藤井聡太王位(19)マイペースの寝癖・豊島将之挑戦者(31)王位戦第4局2日目進行中

松本博文将棋ライター
(記事中の画像撮影・写真撮影:筆者)

 8月19日9時。大阪・関西将棋会館においてお~いお茶杯第62期王位戦七番勝負第4局▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太王位(19歳)戦、2日目の対局が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 本局の立会人を務めるのは中田功八段と豊川孝弘七段の九州在住コンビ。両者は昨年、福岡県でおこなわれた第4局でも立会人でした。

 藤井王位誕生からちょうど1年が経とうとしているわけです。

 今年の第4局は佐賀県嬉野市・和多屋別荘でおこなわれる予定でした。しかし豪雨による災害のため、対局場が大阪・関西将棋会館に変更されています。

 対局室は御上段の間。両者の席の横には、ペットボトルの「お~いお茶」が3本ずつ置かれています。

 8時46分、まずは挑戦者の豊島挑戦者が姿を見せ、下座に着きます。髪には少し寝癖がついているようです。

 対局朝の寝癖といえば、かつては羽生善治九段(50歳)が有名でした。将棋界の王道を歩む豊島竜王も、しばしば寝癖が見られます。

 豊島竜王がはじめてタイトル戦に登場したのは、2010年度の王将戦七番勝負でした。

2011年2月、王将戦第3局、豊島将之六段
2011年2月、王将戦第3局、豊島将之六段

 豊島竜王は当時20歳六段。王将戦史上最年少挑戦の記録は、現在まで破られていません。藤井王位がこの先、更新することはあるでしょうか。

  8時49分。藤井王位入室。歴代4人の永世名人の書が掛かる床の間を背にして、上座に着きました。

 将棋会館の対局は両者スーツということがほとんどです。しかし本局はタイトル戦の番勝負。両者ともに和服です。

 藤井王位がタイトル戦で和服を着るようになって一年と少し。着付けも自分でできるようになったそうです。

 両者駒を並べ終えたあと、記録係の福田晴紀三段が棋譜を読み上げます。

「それでは1日目の指し手の再現をいたします。先手・豊島竜王▲2六歩。後手・藤井王位△8四歩。・・・」

 福田三段の声に従って、両者は昨日の指し手を並べていきます。戦型は相掛かりです。

 角交換のあとの28手目。藤井二冠は1時間6分考えて自陣に角を打ちます。豊島挑戦者の対応次第では、一気に激しい変化に進みます。

 豊島挑戦者はいったん穏やかに収めたあと、39手目、こちらも角を打って動いていきました。

 中段で互いの大駒が対峙し、対応次第では一気に差がつきそうな進行は、すでに見ごたえある中盤戦といえそうです。

 駒の取り合いを含んでの戦いは起こらず、盤上は再び駒組へと戻ります。本格的に駒がぶつかっていない状況を序盤の定義とするならば、まだ序盤戦と言っていいのかもしれません。

「後手△7三桂。先手▲3六銀」

 57手目、豊島挑戦者が銀を三段目から四段目に上げたところまで進められて、1日目が終わりました。58手目、手の広いところで藤井王位は封じ手をしています。

 中田八段が2通の封筒にはさみを入れ、封じ手用紙を取り出します。

「封じ手は△6二金です」

 藤井王位は自陣一段目の金をまっすぐ立ち、二段目、中住居の玉の横に並べました。

 2日目の戦いが始まり、両者は互いにしばらく自陣整備を進めます。

 66手目。藤井王位は銀をぶつけ、前に進めていきました。

 11時50分を過ぎた現在は藤井王位が74手目を考えています。形勢はほぼ互角です。

 王位戦七番勝負の持ち時間は各8時間の2日制。2日目は12時30分から1時間の昼食休憩をはさんで、通例では夕方から夜にかけての終局となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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