阪口哲也選手が古巣相手にマルチヒットで恩返し《9/26 阪神ファーム》
きのう26日、鳴尾浜球場では阪神ファームと社会人・パナソニックとの交流試合が行われました。昨年は橋本良平選手が所属していたものの対戦はなかったパナソニック。ことしは何といっても小虎ファンの方々にはおなじみ、昨年まで鳴尾浜で泥んこになっていた阪口哲也選手(23)がいますし、パナソニックの近藤大亮投手(24)はプロ注目の右腕ということで、お客様も取材陣も多かったですね。
試合が決まった時からもうワクワク状態の阪口選手は、試合前には阪神ベンチの中に入ってしまうほど歓迎されていたらしく、哲ちゃんスマイル全開!試合後もカメラを向けるとニコニコ。帰ってからも「きょうは楽しかったです!」というLINEのコメントが、まるで弾んでいるみたいに見えました。マルチヒットも嬉しかったのでしょう。
試合は前半でリードしながら榎田投手が4回に2点、5回には満塁ホームランなどで一挙6点を失って逆転。でも8回に4点を取って再逆転して9対8で勝っています。阪神12安打、パナソニック13安打の打ち合いでした。
《交流試合》9月26日
阪神- パナソニック (鳴尾浜)
パナ 000 260 000 = 8
阪神 202 100 04X = 9
◆バッテリー
【阪神】榎田-桑原-玉置-守屋 / 岡崎
【パナ】近藤-榎本-藤井健-花岡 / 三上-足立(7回~)
◆本塁打 神:ペレス 2ラン(近藤) パ:三上 満塁(榎田)
◆三塁打 神:北條、陽川 パ:田中宗
◆二塁打 神:柴田 パ:福原、藤井健
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]指:柴田 (2-1-1 / 0-1 / 0 / 0)
〃打指:中谷 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
2]左:緒方 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃一:森越 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃一:原口 (1-0-0 / 1-3 / 0 / 0)
〃走遊:植田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
3]遊二:北條 (5-3-2 / 1-0 / 0 / 0)
4]一中:ペレス (5-1-2 / 3-0 / 0 / 0)
5]三:陽川 (5-2-3 / 0-0 / 0 / 1)
6]中右:横田 (5-0-0 / 2-0 / 0 / 0)
7]二一:西田 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0)
8]捕:岡崎 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
9]右左:一二三 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責)最速キロ
榎田 4.0回 87球(10-3-2/ 8-7) 145
桑原 2回 30球 (2-2-0 / 0-0) 150
玉置 2回 22球 (0-0-0 / 0-0) 144
守屋 1回 21球 (1-0-2 / 0-0) 151
試合経過
まず1回、先頭の柴田が四球を選び、2死を取られたあとペレスがライトへ2ラン!3回は1死から原口の四球に続いて北條が中越えのタイムリー三塁打、2死後に陽川のタイムリー二塁打で2点追加。一方、三者凡退で立ち上がった先発の榎田は、2回に四球と7番・三上の右前打がありましたが無失点。3回も先頭の9番・横田の左前打のみ。
しかし4点のリードをもらった直後の4回、1死から5番・丸木に中前打され、続く藤井健に左中間へタイムリー二塁打。2死後に8番・阪口の左前打で一三塁となり、横田に左前タイムリー。2点返されます。その裏の攻撃で、西田の右前打と一二三の左前打で1死一、二塁として柴田が右翼線へタイムリー二塁打を放って5対2としました。
ところが5回、榎田は先頭の2番・福原に三塁線を破る二塁打を浴び、3番・足立には右前打、4番・田中宗への四球で無死満塁。続く丸木の打球をサード陽川がエラー。まず1人を還します。ついで藤井健の右前タイムリーで1点差。この2人はともに初球打ちでした。なおも無死満塁で三上が1ボールからの2球目、142キロの真っすぐをライトへ…この満塁ホームランで一挙6点が入り、8対5と逆転されます。
ここで榎田が降板。5回途中まで投げ10安打8失点で自責7です。代わった桑原は阪口に中前打、犠打で1死二塁とするも後続を断って追加点は与えず。6回は1死から田中宗に中越えの三塁打(センターのペレス、エラーといってもいい守備…)を許しましたが、次の丸木がスクイズ失敗。桑原、岡崎、陽川とボールが渡って、陽川が背中にタッチする前にアウトが宣告されています。三塁側カメラ席から見ていたところ、走者がスリーフットレーンから出た守備妨害ということでしょう。
次の藤井健を見逃し三振に仕留めて桑原は2イニングを無失点。7回からは玉置が、2イニングを投げ11球ずつで三者凡退に斬って取ります。後半の打線は、5回に相手エラーが続いて2死一、三塁と攻めながら無得点で、6回も原口の四球と北條の左前打で1死一、二塁としますがペレスは三振。7回は三者凡退と抑え込まれていました。
8対6のまま迎えた8回裏、玉置の好リリーフに応えて反撃開始。1死から一二三が中前打、6回から出場の中谷が右前打、原口は死球(この日は4打席で1三振3四死球)で満塁とします。続く北條は遊ゴロ、これをショートが捕って一塁へ。審判は右手を上げかけたのでアウトか…と思ったら、その手をクイッと横へ広げて「セーフ!」のコール。一二三が還って、なおも1死満塁でピッチャーが暴投。中谷が生還して8対7と1点差です。
ペレスは三振に倒れて2死二、三塁。次の陽川は右中間へ大きな当たり!ライトが追いかけて倒れ込んだところは見えたんですけど、記録はヒットでタイムリー三塁打!これで9対8と土壇場で逆転しています。9回は守屋が登板。先頭に四球、犠打で二塁へ進め、藤井健の右前打、さらに死球を与えて1死一、三塁となりました。ここで岡崎がマウンドへ。そして打席には阪口。ファウルで3球ほどカットして、結果は遊飛。最後は三ゴロ二塁封殺で試合終了。
ペレスが先制弾、陽川は決勝三塁打
まず先制2ランのペレス選手は「真っすぐです。いいコンタクトができたので、すぐに“いった”と思いました」と振り返り、パナソニックの先発・近藤投手には「真っすぐはよかった。ストライクゾーンをもっとコントロールできるようになれば」という感想を述べています。1軍について何か言われていないかとの問いに「誰からも聞いていない。毎日ここへ来て一生懸命やって、チャンスが来たら楽しんでやるだけ」と答えています。
この日は4番ファーストでスタートしましたが、1軍から「センターを守らせてほしい」という要望があったそうで、2回に早くも守備交代。センター自体は21日のオリックス戦(神戸サブ)でも8回まで守っていますし、本人いわく「ドミニカやアメリカでもやったことがある」とのこと。26日に呉投手が登録を抹消されたため1軍の外国人枠は1つ空きました。いよいよ、ってことでしょうか?
なお開始早々の守備交代で驚かれた方もあったと思いますが、緒方選手はもともと1打席の予定でした。そして2回にペレス選手がセンターへ回り、森越選手が2番に入ってファーストへ。ところが森越選手は2回の守備で少し指を突いてしまったとか。それで今度は原口選手が出たといういきさつです。その原口選手は3四死球。最後は左ヒジへの死球だったものの「ヒジ当てだったから大丈夫」と涼しい顔。
3回にタイムリー二塁打、8回は逆転の2点タイムリー三塁打を放った陽川選手。試合を決めた三塁打には「最後(三塁打)のはエラーでしょう」と苦笑いでした。二塁打の方は、近藤投手のスライダーを打ったもので「たまたま甘いところに来ただけやと思います。真っすぐにキレがあったし」と。守備に関しては「反省しかありません。何とかして止めたかった。あそこで止めていたら大量点にならなかったかも…」と、5回のエラーを悔やんでいます。
ピンチをしのいだバッテリー
桑原投手は150キロと表示された球が2つありました。「1球だけは(球速が)見えたんですけど。150キロ出たのは、ことしは初めてですね。なんかスピードガンが上がってきてませんか?石崎あたりから2、3キロ」とニヤニヤ。確かに最近みんな145キロ以上出ているし。「でしょう?」とまた笑っていましたよ。
5回途中、満塁ホームランのあと登板したわけですが、こういう緊急事態で投げることも多いですね。「はい、でもそれが仕事なので」。6回の三塁打は捕ってほしかったですねえ。「マジか~!って思わず言っちゃいました(笑)。でも次がスクイズしてくれて、逆に助かったかも。社会人チームだし、1アウト三塁なら打ってくると思ったけど」。1球目のボールを見逃がした時に、気配を察したバッテリーの勝ちですね。
先発マスクをかぶった岡崎選手は、古巣・パナソニック(入団当時は松下電器)との対戦で久しぶりにフル出場。試合後は「疲れました」と苦笑いです。5回に大量失点してしまった榎田投手に「かわそう、かわそうとしすぎた僕のせいです。もっとどんどん攻めていけばよかった。攻めながら、かわせばよかった」と、自身のリードを反省しきり。とはいえ、9回の満塁のピンチはしのいでいます。次は、そこを悔やむ阪口選手の話をどうぞ。
「あそこで打ちたかった…」
パナソニックの8番セカンドでフル出場した阪口哲也選手。コメントの前に打席結果を整理しておきましょう。1打席目は2回2死一、二塁で空振り三振。2打席目は4回2死二塁で左前打を放ちチャンス拡大。3打席目は5回、満塁弾のあと無死走者なしで中前打。4打席目は1死ランナーなしで高校の大先輩・玉置投手の直球を打って左飛。そして5打席目は逆転され1点差で迎えた9回、2死満塁のチャンスに守屋投手の変化球で遊飛。5打数2安打です。
マルチヒットにほっとしたのか「2安打は滅多にないですよ!」とニコニコ。滅多にないと言いながら「あ、カナフレックス戦でも2本打ちました」と。そういえばパナソニックは21日に、もと阪神・藤井宏政選手がいるカナフレックスとオープン戦をやったばかり。調子いいじゃないですか~。「でも最後が…。あそこは打ちたかったですねえ。そういうとこですね、僕は」
やはり9回のチャンスに1本打てなかったことが悔しいようです。阪神に入る際の担当だった畑山スカウトも、2安打したことを喜びつつ「あそこで打ってたらなあ。残念やなあ」と言われましたし、コーチ陣も「あそこやで~、哲は」と苦笑という感じだから、本人はなおのことですね。去年は守屋投手から右前打したのに。でも打った阪口選手、打たれた守屋投手、双方とも去年の対戦は記憶にないみたいです。
みんなに会えて楽しかったです!
4回には榎田投手からにヒット。左投手から打ったねえと言われて「ビックリしました!榎田さんのサービスです」と答えた阪口選手。いえいえ、それは謙遜。また去年、同じ9月26日にホームランを打ったことは「思い出しました。あの時、柴田さんのバットで打ったんですよ、ホームラン。だから、きょうも1打席目と最後は柴田さんにもらったバットでいったんですけど…アカンかった」と笑っていました。
柴田選手のバットは、きのうの試合前にもらったそうです。他にもみんなから用具は貰った?「はいっ!貰えるだけ貰いました!」。それを使って活躍してくれることを、みんなは楽しみにしていますからね。頑張ってください。そして阪口選手は「きょうは楽しかったです!みんなに会えてよかった。原口さんとも会えて、メッチャ嬉しかったです」と何度も繰り返します。
その原口選手は、阪口選手の話をすると思い出し笑い。「哲、うるさかった~。ずっとしゃべってるんですもん」。4回、5回と続けてヒットで一塁に行きましたからね。そこで何か言ってるのは、口をあまり動かさなくても見え見えです。そのあと二塁へいってから、今度はセカンドの西田選手、ショートの北條選手にも何かつぶやいていたはず。ほんとに楽しそうで、こっちもニヤニヤしちゃいました。
また守備交代の時に、駆け足というか猛ダッシュでベンチへ帰る姿や、早々に汚れたユニホームも、哲ちゃんらしくてよかった。阪神の選手たちも、監督やコーチ陣、スタッフの皆さん、それに高木寮長も元気にプレーする哲ちゃんを見て嬉しそうでしたよ。だから2安打は大きな恩返しになったことでしょう。今度は『第41回 社会人野球日本選手権大会』での活躍を期待しています!(京セラドームにて10月30日~11月9日)
※阪口選手が昨年9月26日に公式戦プロ1号を放ったタイガース最後の試合についてや退団のこと、またパナソニックへの入社が正式に決まった時の話などは、以下の昨年出した記事をご覧ください。