仕事が好きな私だからこそ、仕事ができない男性とつきあう意味がありません(「スナック大宮」問答集16)
「スナック大宮」と称する読者交流飲み会を東京・西荻窪、愛知・蒲郡、大阪・天満のいずれかで毎月開催している。2011年の初秋から始めて、すでに80回を超えた。お客さん(読者)の主要層は30代40代の独身男女。毎回20人前後を迎えて一緒に楽しく飲んでいる。本連載「中年の星屑たち」を読んでくれている人も多く、賛否の意見を直接に聞けておしゃべりできるのが嬉しい。
初対面の緊張がほぐれて酔いが回ると、仕事や人間関係について突っ込んだ話になることが多い。現代の日本社会を生きている社会人の肌からにじみ出たような生々しい質問もある。口下手な筆者は飲みの席で即答することはできない。この場でゆっくり考えて回答したい。
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仕事ができる同世代の男性はほとんど既婚者
「私は仕事が好きで、辞める気はまったくありません。一人でも十分に生活していけます。だからこそ、仕事ができない男性には魅力を感じません。同世代で仕事ができる人はほとんど結婚しています。仕事のできる独身男性を見つけるのは難しいです」(40歳の独身女性)
金融系のフリーランサーとして活躍している女性。美人で、お酒が飲めて、賢くて、聞き上手だ。酒場で隣の席にいると口説きたくなってしまう雰囲気の持ち主だが、意外なほど厳しい言葉を発するので驚く。酔いが少し冷めるのを感じた。この程度の話で恐れおののくような自信のない男性は最初からお断り、なのかもしれない。
彼女と同じぐらい賢くても、今年中にでも結婚をしたい女性はこのような発言はしない。仕事ができる男性ではなくても仕方ない、一応はちゃんと働いている男性ならば良い、と焦っているからだ。
30代40代を中心とする結婚の現場を取材していると、相変わらず「男性優位」だと感じる。心身が健康で、ちゃんと働いていて、身だしなみも問題なく、会話もそこそこできる独身男性ならば、かなり条件を絞り込んでも女性と出会うことができる。結婚相談所に登録すれば、「34歳以下、美人、四大卒、共働き希望、特技は料理」といった条件を出しても、都会在住であれば複数の女性とお見合いできるだろう。
しかし、女性が結婚や出産を最優先にせず、「私は一人で生きていける。尊敬できる人と高め合えるような関係を結びたいだけ」と考えるようになったら状況は一変する。身だしなみや気遣いを含むコミュニケーション能力で、たいていの男性は働く女性に太刀打ちできないからだ。安定収入の会社で「ちゃんと働いている」レベルでは、冒頭の女性から尊敬を得ることはできない。
独身男性はモテているうちに結婚して成長しよう
結婚願望のある独身男性に言いたい。モテているうちに結婚しよう。上述のように婚活市場では男性が「下駄を履かせてもらっている」。このありがたい状況がいつまで続くかわからないし、男性も40代半ばを過ぎると「下駄」はなくなる。そこから結婚しようと思うと、現在婚活中のアラフォー女性と同じぐらいの苦労を味わうだろう。
結婚は素晴らしい。筆者の場合は一度目の結婚に失敗してしまったが、それでも結婚生活を通して成長できることは少なくないと感じている。家事やコミュニケーションだけでなく、場合によっては仕事能力も向上する。結婚相手の女性から学ぶことはとても多いのだ。作家の池波正太郎氏は「女は男しだい」だと小説の中で書いているが、「男も女しだい」だと筆者は思う。
肝心なのは、自分を見上げて従ってくれそうな女性を選ぶのではなく、何でも話し合えて尊敬し合えそうな女性を選ぶことだ。いや、そんな女性から選ばれるような男性でありたい。ポイントは素直さと前向きさだと思う。「可愛げと志」とも言い換えられる。優れた女性は「のびしろ」がある男性を感覚的に選び取るからだ。
そして、冒頭の女性にもお願いしたい。現時点で「仕事ができる」男性だけでなく、将来的に活躍しそうな男性にも目を向けてほしい。彼が活躍できるか否かは自己責任ではあるけれど、あなたの存在が大きな原動力になりうる。磨きがいのある宝石の原石を探すような気持ちになれば、恋愛対象の幅も広がるのではないだろうか。