アップルの”インダクティブ充電”特許の影響度について
「アップルの最新特許”インダクティブ充電”の巨大なポテンシャル」という記事(元記事はForbes Japan)を読みました。
アップルの特許出願"Inductive charging between electronic devices"が米国で登録になったという話です。このタイトルや記事全体の書きぶりを見ると、”インダクティブ充電”そのものが画期的技術であり、アップルがそれを特許化したように見えますが、そんなことはありません。インダクティブ充電(電磁誘導充電)自体は、昔からあるテクノロジであり、Qi充電やMagSafeでも使われています。
この記事で触れられている2021年1月5日に登録となったアップルの特許(US10,886,771) のポイントは、ラップトップやタブレットを充電台にしてスマホやスマートウォッチを充電できるというものです。発明の名称も” "Inductive charging between electronic devices"(電子デバイス間のインダクティブ充電)となっています。イメージとしてはタイトル画像のとおりです。外出先等で緊急に充電したい場合等は便利かもしれませんし、充電台の設置スペースが不要になるというメリットはあるかもしれませんが、充電中はラップトップやタブレットを使えません(あるいはかなり使いにくい)のでめちゃくちゃうれしいというほどではないと思います。
具体的な権利範囲ですが、充電コイルがディスプレイの裏側に2機あり、かつ、それぞれに対して位置決め用のマグネットがあるという、かなり限定された構成で権利化されています(したがって、タイトル画像の構成とはちょっと違います)。特許ポートフォリオの一部としては意味があるかもしれませんが、この特許単独でゲームチェンジングというほどではないと思います。なお、この出願は2014年の出願の継続出願であり、今までも様々な権利範囲で特許登録されています。過去の出願の方が権利範囲は広いものと思われます。それぞれの権利範囲については別記事で書くかもしれません。