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【JAZZ】ギラ・ジルカ&矢幅歩“SOLO-DUO”「A Flake Of Snow」リリースライブ

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
『A Flake Of Snow -Winter Song Book-』
『A Flake Of Snow -Winter Song Book-』

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、至福の混声デュオ“SOLO-DUO”のモーション・ブルー・ヨコハマ公演。

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2006年にセレンディピティーな出逢いによって結成、トランスフォームしながらヴォイスとシング、そしてヴォーカル・デュオというスタイルの概念を打ち破ってきた“SOLO-DUO”。

この2人が“ライヴ会場のみでの限定発売”をしているシングルCD『YESTERDAY ONCE MORE』をリリースしたことは、すでに当欄で取り上げた(【JAZZ】SOLO-DUO『YESTERDAY ONCE MORE』はコーラス革命の瞬間冷凍パック)。

秋にさしかかるころの話だったのだけど、冬の便りが届くころには早くも“第2弾”のニュースが届けられた。

そしてそのシングルCD『A Flake Of Snow-Winter Song Book-』の“リリース記念ライヴ”が行なわれることになった。

ライヴあってのCDという相乗効果

ライヴを重視する自分たちの特性を考えたチャネルの選択が“ライヴ会場限定”や“シングルCD”という結果になったのだろうけれど、アルバムとライヴの在り方を考えるひとつの成功事例として音楽マーケットを動かすムーヴメントにつながればおもしろいんじゃないかと思うのだが……。

さて、このライヴでは共演者も興味深い。ギラ・ジルカのアルバムをプロデュースしている竹中俊二はすでにおなじみ。そこへ馬場孝喜を配するというキャスティングだ。ヴォーカルのデュオにギターのデュオまで絡めてしまおうという高度な趣向なのだろうか。要となるベースに日本のジャズ・グルーヴを牽引する中村健吾。ピアノレス、そしてドラムレスの弦だけのグルーヴに2人の声が載るというシンプルにしてチャレンジャブルな企画であることに、ジャズ・マニアならきっと気づくだろう。いや、マニアじゃなくたって、声だけのリズムすなわち“息づかい”とハーモニーすなわち“倍音”を楽しめるこの編成を体験してしまえば、ジャズの印象が大きく変わるはず。

“SOLO-DUO”のライヴ会場限定CDシングル戦略は、単なる客寄せのためのアイテムにとどまらないことが、こうした準備と意図からも察することができるのではないだろうか。

では、行ってきます!

●公演概要

1月9日(金) 開場17:30/1st 開演19:00 2nd 開演21:00(入替なし)

会場:モーション・ブルー・ヨコハマ(横浜)

出演:ギラ・ジルカ(ヴォーカル)、矢幅歩(ヴォーカル)、竹中俊二(ギター)、馬場孝喜(ギター)、中村健吾(ベース)

♪「SOLO-DUO」 "A FLAKE OF SNOW" album sampler

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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