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マイク・トラウトのトレードが実現した場合、大谷翔平とチームメイトになる可能性はあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・トラウト(左)と大谷翔平 Apr 20, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2019年の開幕前に、マイク・トラウトは、ロサンゼルス・エンジェルスと12年4億2650万ドルの延長契約を交わした。この契約は、2019年から2030年までだ。

 けれども、今オフ、トラウトはエンジェルスを去るかもしれない。

 USAトゥディのボブ・ナイテンゲールは、トラウトがトレードを望むのであれば、エンジェルスはそれに対してオープンな姿勢をとる、と報じている。

 その前には、オレンジ・カウンティのジェフ・フレッチャーが、エンジェルスの方向性と計画についてオフに球団と話し合うつもり、というトラウトのコメントを伝えていた。

 今オフ、大谷翔平は、エンジェルスからFAになる。再契約の可能性は低い。

 トラウトのトレードも、実現の可能性は高くない。来シーズン以降の契約は、年俸3545万ドル×7年だ。総額は2億5000万ドル近い。

 ここ3シーズンとも、トラウトは長期にわたって離脱している。2021年以降にエンジェルスが行った468試合のうち、トラウトの出場は237試合。50.6%に過ぎない。

 また、トラウトのシーズンOPSは、メジャーリーグ2年目の2012年から2022年まで、いずれも.930を超えていた。この11シーズン中9シーズンは、OPS.980以上を記録している。それに対し、今シーズンの82試合は、OPS.858だ。

 それだけなら、一時的な低下と見るべきだろうが、近年は三振率が上昇している。2011~20年のシーズン三振率は、2014年こそ26.1%ながら、あとの9シーズンは23.5%未満だった。ここ3シーズンの三振率は、28.1%、27.9%、28.7%だ。

 先月初旬、トラウトは32歳の誕生日を迎えた。

 エンジェルスがトレードを成立させるには、残っている契約のうち、少なからぬ額の支払いを負担する必要がありそうだ。

 過去には、超がつく大型契約の半ばに、トレードで移籍した選手もいる。アレックス・ロドリゲスは、10年2億5200万ドル(2001~10年)の契約4年目を迎える前に、テキサス・レンジャーズからニューヨーク・ヤンキースへ移った。ジャンカルロ・スタントン(現ヤンキース)がマイアミ・マーリンズからヤンキースへ移籍したのも、13年3億2500万ドル(2015~27年)の契約3年目を終えたオフだ。

 トラウトの契約がそうであるように、ロドリゲスとスタントンの契約総額も、当時は史上最高だった。

 ただ、ロドリゲスもスタントンも、ヤンキース1年目の年齢は28歳だ。来シーズンのトラウトと比べると、4歳若い。トレード前の3シーズンの出場率は、ロドリゲスが99.8%(485/486)、スタントンは72.6%(352/485)。2人とも、トレード直前のシーズンに、本塁打王を獲得し、MVPに選ばれている。

 とはいえ、見返りがそう大きくなくて済み、支払い額も軽減されるのであれば、トラウトを獲得しようとする球団は、現れても不思議ではない。今シーズンのOPSにしても、これまでのトラウトからすると低い数値であって、大半の選手よりは高い。健康さえ維持できれば、復活もあり得る年齢だ。

 トレードが実現する場合、トラウトを獲得する球団は、大谷を手に入れようとする球団とは別ではないだろうか。トラウトと大谷の2人を迎え入れると、トラウトの疲労や怪我を防ぐために、どの試合も外野を守らせるのではなく、DH出場を織り交ぜる、という起用ができない。

 年齢を重ねるごとに、トラウトがDHとして出場する必要は、増していくはずだ。トラウトの契約は、あと7年残っている。32歳から38歳までなので、30代前半が3年と30代後半が4年だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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