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オートバイのあれこれ『空冷Zの末弟!Z250FT』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『空冷Zの末弟!Z250FT』をテーマにお話ししようと思います。

昨今の絶版車/旧車ブームの中でも、トップクラスの人気を誇るカワサキ・空冷Zシリーズ。

そのイメージリーダーは『900SUPER4』(Z1)や『Z1000Mk.Ⅱ』といった大型モデルなわけですが、一方250ccクラスにもZがあったのをご存知でしょうか。

▲Z250FT〈1979/画像引用元:川崎重工〉
▲Z250FT〈1979/画像引用元:川崎重工〉

上の画像のオートバイが、“Zの末っ子”ともいえる存在の『Z250FT』です。

カワサキは1970年代後半、250ccクラスに2ストロークの『KH250』と4ストロークの『Z200』をラインナップしていましたが、2ストローク車が環境性能の観点から世間的に肩身が狭くなっていたこと、また、4スト単気筒のZ200がスペック的にやや物足りないと評価されていたことから、新たに250ccのモデルを作ることにしました。

▲KH250〈1978/画像引用元:川崎重工〉
▲KH250〈1978/画像引用元:川崎重工〉

そうして誕生したのが、このZ250FTになります。

Z250FTのディテールにおいてイチバンの見どころは、エンジンやフレームが専用設計されていたこと。

当時、250ccのオートバイというのは上位機種(400ccや350ccのモデル)のフレームをそのまま流用し、エンジンも排気量のみ縮小して使うという作られ方が一般的でしたが、カワサキはこのZ250FTの開発にあたり、エンジンもフレームもFT用としてゼロから新たに拵えたのです。

エンジンは、空冷OHC2バルブのパラツイン(並列2気筒)エンジンを搭載。

▲空冷Zシリーズではあるものの、エンジンは2気筒だった〈画像引用元:川崎重工〉
▲空冷Zシリーズではあるものの、エンジンは2気筒だった〈画像引用元:川崎重工〉

「Zなのに4発じゃない!」と、Zファンの中には不満を抱いた人もいたことでしょう。

しかし実際のところ、このFTのパラツインエンジンは専用設計されただけあって完成度がとても高く、キャラクターとしては10,000rpmでピークパワーを絞り出す高回転型、さらに、そこへ至るまでの回転フィーリングもひじょうにスムーズなものとなっていました。

また、250ccのパッケージに合わせて作られたフレームも軽さと剛性のバランスに優れ、軽快感と安定性を高次元で両立。

このように、各部が専用で作られたFTのパフォーマンスは並々でなく、ヤマハ『RD250』やスズキ『RG250E』といったライバルの2スト勢にも負けず劣らずの鋭い走りを実現していました。

性能面以外で注目したいところは、なんといってもそのスタイリング。

Z400FX』や『Z750FX』といった兄貴分と同様の“角Z”スタイルとされ、Zシリーズの仲間であることがアピールされていました。

▲Z750FX〈1979/画像引用元:川崎重工〉
▲Z750FX〈1979/画像引用元:川崎重工〉

当時は250ccクラスに対して「性能もクオリティもイマイチ」というような見方をされることが少なくありませんでしたが、Z250FTはスペック面でもルックス面においても、そうしたイメージを覆した存在といえるでしょう。

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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