観測史上もっとも暑い9月に 高温記録を振り返る
北半球は今年、観測史上もっとも暑い夏を経験したばかりですが、その傾向は秋になっても続いています。欧州のコペルニクス気候変動サービスは、先月の地球全体の気温は、9月としては観測史上もっとも高かったと発表しました。
同機関によると、今年9月の世界平均気温は例年を0.63℃上回り、これまでもっとも暑かった2019年同月よりも0.05℃高かったとのことです。
世界の高温記録のあれこれ
では具体的にはどこが暑かったのでしょうか。
北アメリカ
まず、アメリカ西部が挙げられます。9月6日にはカリフォルニア州ロサンゼルス郡では郡の観測史上最高気温となる49.0℃が観測されました。長引く熱波と干ばつの影響で山火事が多発し、カリフォルニア州では17,000平方キロが焼失し、これは州の観測史上最大の面積に達しています。
南アメリカ
一方南アメリカでは、26日にパラグアイのポゾホンドで国内史上最高気温となる45.5℃を観測しました。30日にはブラジルのアグアクララで、国内最高気温にあと0.5℃と迫る44.1℃を記録しました。さらにアルゼンチンでも45.5℃まで気温が上がって、9月の国内最高気温記録を更新しています。ブラジルやパラグアイなどにまたがる世界最大の湿地「パンタナル」では、観測史上最多となる17,000件の火災が発生し、ジャガーなどの希少生物にも被害が及んでいます。
欧州、中東
さらにヨーロッパ全域でも、観測史上もっとも暑い9月となりました。フランス・リルでは17日、9月の最高気温記録となる35.1℃が観測され、イギリスなどでも多くの人々がビーチで涼をとっていました。
中東のエルサレムでは6日、1942年の観測開始以来最高気温となる41.7℃が記録され、トルコ・アダナでは45.1℃とこの地域の9月の高温記録が塗り替えられました。
豪州
そのうえ、冬が終わったばかりの南半球オーストラリアのマンドラでも、14日に41.8℃まで上昇し、9月の最高気温記録となりました。国全体の先月の平均気温も、9月としては史上2番目に高いものとなっています。
今年はどんな年に?
今年は9月の他に、1月と5月もそれぞれ観測史上もっとも気温の高い月となりました。さらに4月と6月は1位タイの記録ですから、ほぼ毎月のように記録が更新されています。思い起こせば、日本でも8月静岡県浜松市で国内最高気温記録となる41.1℃まで気温が上がり、世界でもニュースになりました。
今後はどうでしょうか。現在ラニーニャ現象が発生しており、12月にかけて平年よりも高い状態は弱まっていくと見込まれます。というのも、ラニーニャは東部太平洋の海水温が平年よりも下がる現象で、世界気温も下がる傾向があるためです。
反対にエルニーニョ現象は世界気温を上げる傾向にあり、これまでもっとも暖かかった上位3年間(2016年、2019年、2015年)はいずれもエルニーニョが発生していました。2020年はラニーニャ年にもかかわらず、観測史上3位以内の高温の年になると予想されています。