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主な新興国/米国経済ニュース(4月3日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア中銀総裁、主要政策金利は少なくとも6月まで継続の意向示す

ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は2日、3月3日に臨時に開催した金融政策決定会合で主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を一時的な措置として、1.5%ポイント引き上げて7%とすることを決めたが、少なくとも6月までは政策金利を引き下げず、7%の水準を維持する考えを明らかにした。ノーボスチ通信(電子版)が伝えた。

中銀は3月14日に開催した定期会合では、これらの主要政策金利を7%のまま据え置くことを決めたあと、声明文で、「インフレ上昇率の加速リスクは依然続いている。ロシアを取り巻く外部環境も不安定で金融市場の変動も強まっており、ロシア経済は一段と不安定になっている。こうした状況を考慮して、為替の急激な変動(ルピア安の進行)によるインフレの悪化を食い止め、金融市場を安定させることを優先するため、今後数カ月、政策金利を引き下げる考えはない」と述べている。

この日、ナビウリナ総裁は「今後数カ月」という文言について、「少なくとも6月まで」と具体的なスケジュールを示した。また、同総裁は、「年内は、物価と金融市場の安定を確保するという原則を維持する一方で、経済状況など他の要因についても配慮していく」とし、景気リスクにも配慮する意向を示している。

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ベトナム航空、9月にIPO実施へ―交通運輸次官

国営ベトナム航空は9月に新規株式公開(IPO)を実施する見通しだ。オンライン・ニュースメディアのベトナム・エコノミック・タイムズ(電子版)が3日、グエン・ホン・トゥルオン交通運輸次官の話として伝えた。

同社はすでに昨年4月、IPOに関するコンサルティング契約を米証券大手モルガンスタンレーや米金融大手シティグループ、ベトナム投資開発銀行(BIDV)傘下のBIDV証券、企業価値算定サービス大手ベトナム・バリュエーション・ファイナンス・コンサルタンシーと結んでいる。

これまで同社はIPOの実施時期については明らかにしておらず、今夏までに実施し、2015年1月から上場企業として正式に事業を開始したいとしていた。同社はIPOで発行済み株式の20‐30%を戦略的パートナーに売却すると見られている。政府はIPO後も70-75%の株式を保有する。

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インドネシア、5年後の2019年に7%成長可能―INDEF理事

インドネシア経済・金融開発研究所(INDEF)の理事でエコノミストのエニ・スリ・ハルタティ氏は3日、アンタラ通信のインタビューで、インドネシアの経済成長率は政府が適切な経済政策を講じれば、5年後の2019年には7%増に達する可能性があるとの見方を示した。ジャカルタ・ポスト(電子版)が3日に伝えた。

ハルタティ理事は、この成長目標の達成には、食糧安保(コメなど食料品の自給率の向上)やエネルギーの安全保障(原油生産の減少の一方で燃料補助金の肥大化)、インフラ整備の遅れなどの問題を克服するための適切な戦略と、貿易黒字の維持が必要だとしている。また、INDEFは2019年時点のインフレ率は4%上昇、失業率は3%になると予想している。INDEFは2004-2013年の過去10年間のインドネシアの成長率は平均で5.8%増だったとしている。

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米グーグル、既存株1株を2株に株式分割―創業者の経営支配権温存が狙い

米インターネット検索大手グーグル<GOOG>は2日、既存の株式1株を2株に分割することを明らかにした。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが伝えた。

株式分割は新株発行の一つで、2対1の株式分割によって、グーグルの株主は資金を払い込まずに持ち株が2倍に増加することになる。今回の株式分割は3月27日時点の株主が対象で、株主は既存の1株に対し議決権付のA株と議決権がないC株の計2株が与えられる。このため、株式分割後、株主の持ち株は2倍になっても、C株には議決権がないため、A株の株主の経営支配権が拡大することはない。両方の株式は3日から市場で売買され、A株の銘柄コードは「GOOGL」、C株は既存の「GOOG」となる。

一方、グーグルにとっては、株式数が2倍になることで、1株当たり利益が半分になるが、この影響は第1四半期(1-3月)決算から反映されるとしている。現在、同社の共同創業者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏は市場で売買されないB株を保有しており、今回の株式分割で他の株主と同様、C株を受け取ることになる。しかし、株式分割の狙いは、今後議決権のない株式を発行する機会が増えても創業者が保有しているB株の希薄化を防ぐことが可能となり、その結果、創業者の経営支配権が温存できるメリットがある。

また、株式分割によって、株式の流動性が高まるため、一般投資家のグーグル株の保有が増えるだけでなく、グーグルが企業買収の際に現金と株式交換の組み合わせが利用できるようになり、株式を現金と同等に使えることが可能になる。

同社の株価は3日、0.48%高の569.74ドルで引けている。

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米マイクロンテクノロジー、Q2決算は黒字転換―エルピーダ買収効果で

米DRAM半導体大手マイクロンテクノロジー<MU>が3日に発表した2013年12-2014年2月期(第2四半期)決算は、前四半期(2013年9-11月期)と同様、企業買収による大幅な売り上げ増の効果が持続し、最終損益が前年同期の2億8600万ドル(約300億円)の赤字から一転して、7億3100万ドル(約760億円)の黒字となった。1株当たり損益(希薄化後)も28セントの赤字から61セントの黒字に転換、調整後の1株当たり利益は85セントとなり、アナリスト予想の74セントを上回った。

また、売上高も昨年7月に日本のDRAM専業大手エルピーダメモリの買収効果で、前年比2倍増の41億1000万ドル(約4270億円)となり、アナリスト予想の40億ドル(約4160億円)を上回った。この決算結果を受けて、同社の株価は3日の引け(1.44%安)後の時間外取引で一時、2.5%高となった。米東部時間午後5時29分時点では0.38%高となっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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