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エシカルサミット「エシカル2018」品川で開催 SDGsを自分事化して消費を通じて世界を変革する 

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
エシカルサミット「エシカル2018」(筆者撮影)

エシカルサミット「エシカル2018」が2018年7月4日(水)から6日(金)まで、東京・品川プリンスホテルで開催されている。「エシカル」とは「倫理的」という意味だ。東日本大震災以降、被災地支援や持続可能性などに配慮する「エシカル消費」が注目されている。

エシカルサミットの会場(筆者撮影)
エシカルサミットの会場(筆者撮影)

開催初日4日の午前中には、東京都知事の小池百合子氏が登壇し、食品ロス削減について、今まで以上に力を入れて取り組んでいく旨の発言があった。

4日午後のプログラムの最初は、国連広報センター所長、根本かおる氏の講演だった。根本氏は2013年8月から現職に就いている。講演「SDGsを自分事化して消費を通じて世界を変革する」では、ビデオを交えながら地球の限界について「地球はたった一つの世界」「地球は私たちの家」といったお話があった。概要をご紹介したい。

SDGsの認知度は15%

電通が発表したSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)の認知度は15%だった。2年前は、ほぼ 0(ゼロ)だったので、そこから考えれば認知は高くなって来た。男女・年代で見てみると、男性のシニア層と20代で高く、突出しているのが女性。

SDGs(エスディージーズ)(国連広報センターHPより)
SDGs(エスディージーズ)(国連広報センターHPより)

自分でできるSDGsアクションとは

自分にできるSDGsアクションとは、たとえば、地産地消。フードマイレージの少ない野菜などを選んで買うこと。そして、食べ切る、使い切ること。

会場ステージ(筆者撮影)
会場ステージ(筆者撮影)

地球はもう限界、地球が3個要る

SDGsは「このままでは地球はもう持たない」という強い危機感から生まれた。世界の格差も拡大している。2020年末には洪水リスクが今の4倍になる。温室効果ガスを出しているのは先進国、中国とインド。2018年3月、モルジブに渡航した。先進国が出している温室効果ガスの影響は、モルジブのような小さな国が受けている。現在、世界人口の40%が水不足に直面しており、2030年までに7億人が避難民になると言われている。

国連広報センター室長の根本かおる氏(筆者撮影)
国連広報センター室長の根本かおる氏(筆者撮影)

世界の6800万人が避難民・難民。第二次世界大戦以降、最も高い。人道支援に向けられている予算は、軍事費の100分の1。

続かない世界から、続く世界へ

(SDGsの前に設定された)MDGsは、主に途上国に向けたものだった。1990年には36%だった貧困率が、2015年は12%まで減った。とはいえ、積み残しもたくさんある。気候変動、格差の拡大、紛争の増加。途上国だけでなく、全国連加盟国で取り組んでいこうというのがSDGs。SDGsでは、次の3つの側面:経済成長、社会的包摂、環境保護 を統合的に推進していく。SDGsの設定までには、世界中で3年かけてコンサルテーションがなされた。

根本かおる氏のプレゼンテーション(筆者撮影)
根本かおる氏のプレゼンテーション(筆者撮影)

「三方よし」+将来よし、地球よしを足すと、五方よし

1つのことに成果をあげると、他でも効果をあげることができる。これを不可分性と呼ぶ。

日本では、長く続けることが美徳という考え方が備わっている。

SDGsの17のゴールは、次のようになっている。

1-6は、MDGsの積み残し。

7−12は、主に民間が関わってできること。

13-15は社会や経済の土台となること。

16はガバナンス。

17は、1-16全部に関わること。

SDGs(国連広報センターHPより)
SDGs(国連広報センターHPより)

誰も置き去りにしない

SDGsは、193カ国が賛成した「社会契約」と言える。

SDGsレポート2018 によれば、若年層の失業率は、成人の失業率の3倍にもなっている。

SDGsのゴールの8番(国連広報センターHPより)
SDGsのゴールの8番(国連広報センターHPより)

パートナーシップこそがSDGs推進の鍵

今のままのライフスタイルを続けていくと、地球が3つ必要になると言われている。2050年には世界人口95億人になる。プラスティックゴミは年に800万トン発生。3.6億トンもの蓄積。2050年には、海の魚の重量とプラスティックの重量とが同じになると言われている。レジ袋は年間5兆枚使われている。ペットボトル、日本は分別して回収しているが、リサイクルされてペットボトルになっているわけではない。そのほとんど燃やされている。モルジブに行ってプラスティックゴミの現状を見てから、自分(根本氏)は、ペットボトルを使わず、水筒を持ち歩くようにしている。こういう会議でもぜひそうしていただきたい。

講演する根本かおる氏(筆者撮影)
講演する根本かおる氏(筆者撮影)

「やめようプラスティック汚染」

次にビデオを見てもらいたい。

(以下はVTRのナレーションから)

プラスティック、丈夫だから便利で、丈夫だから恐ろしい。3億トン以上もが蓄積している。

死んだミズサギドリを解剖すると、中から234個のプラスティックが出てきた。体重の15パーセントに相当するプラスティックを飲み込んでいた。これを人間に例えると、6キロから8キロの重量のプラスティックを飲み込んでいたことになる。

(以上、VTRのナレーション)

プラスティックが細かくなったマイクロプラスティックは有害物質を付着しやすい。それを魚が食べて、魚を人が食べることになる。

地球は子どもたちからの借り物だ。20世紀は戦争の時代と言われた。私たちは21世紀をどういう時代にするのだろう。

エシカルサミット「エシカル2018」の会場(筆者撮影)
エシカルサミット「エシカル2018」の会場(筆者撮影)

講演を聴講して

根本かおる氏の講演は、筆者も講演したお茶の水女子大学で一度伺った。先日は、根本氏も講演したという日本女性技術者フォーラムでも講演させていただいた。日頃よりSDGsを講演でお話ししているので、楽しみに伺った。

最も印象に残ったのはプラスティックゴミの話だった。世界でも日本はその対応に遅れをとっている。食品ロス削減にも関連する。今すぐ、自分のできるところから着手していきたい。

会場の入り口に掲げられた協賛企業の掲示(筆者撮影)
会場の入り口に掲げられた協賛企業の掲示(筆者撮影)

イベント概要

エシカルサミット「エシカル2018」公式サイトより

タイトル:エシカルサミット「エシカル2018」 エシカル・サステナブルな消費と生産の先進的取組

日程:2018年7月4日(水)〜6日(金)

会場:品川プリンスホテル

協賛企業(2018年5月現在):

イオン株式会社

IKEUCHI ORGANIC株式会社

株式会社イトーキ

エイピーピー・ジャパン株式会社

オリックス株式会社

花王株式会社

株式会社ケーズ・ホールディングス

株式会社サエラ

サラヤ株式会社

GEM Co, Ltd

J.フロントリテイリング株式会社

株式会社シンクロン

積水化学工業株式会社

株式会社三菱ケミカルホールディングス

株式会社リーテム

主催:(一社)日本エシカル推進協議会

名誉顧問:広中和歌子 元環境庁長官

名誉顧問:板東久美子 前消費者庁長官

実行委員長:山本良一 東京大学名誉教授

後援:消費者庁、環境省(予定)

事務局:株式会社シーエーティ 室井るみの

旅行代理店:株式会社ピコ 戸井川裕美子

品川プリンスホテル:工藤葉家、斎藤学、田口真也

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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