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将棋史上最強の棋士・羽生善治九段(51)後手番で広瀬章人八段(34)に快勝! 王将リーグ3勝目!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月21日。東京・将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ▲広瀬章人八段(34歳)-△羽生善治九段(51歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は18時29分に終局。結果は118手で羽生九段の勝ちとなりました。リーグ成績は羽生九段は3勝1敗、広瀬八段は1勝2敗となりました。

羽生九段「まだまだずっと、大変な人と続きますけど、コンディションを整えて、次の対局にも向かっていきたいと思います」

広瀬八段「ちょっと挑戦を目指すというよりは下を向いた戦いになりそうなんですけど、残留目指してがんばりたいと思います」

 他のメンバーに先行して4局目まで指し終わった羽生九段。次の5局目は11月9日、藤井聡太三冠との対戦です。今期リーグ、天王山の一局となる可能性は高いでしょう。

 今年度前半は不調だった羽生九段はここにきて3連勝。いよいよ復調でしょうか。

羽生九段、後手番で圧倒

 広瀬八段先手で、戦型は角換わり。まずは両者、左端の9筋を突き合いました。一方で、右端の1筋は広瀬八段が突き越しました。

羽生「序盤も前例がある形なんで、まあいろいろあるところですけど。あのへんはまだ課題というか、なにがいいかよくわかっていないっていうのが現状です」

 26手目、序盤の駒組もそこそこに、羽生九段は中段に桂を跳ね、動いていきました。

羽生「端(1筋)の位(くらい)を取られてしまったんで。持久戦になるとちょっと模様がわるそうなので。まあ思い切って△6五桂と行って、局面を動かしに行ったっていうところです。成立してるかどうかは微妙だと思うんですけど、形としては行かないと、ちょっと作戦負けになるかなと思いながら指してました」

 羽生九段の動きに応じ、広瀬八段は盤上中央に角を打ちます。対して羽生九段も「角には角」で自陣に角を打ちました。

 進んで羽生九段は広瀬八段の角を追いながら、自陣の駒を押し上げていきます。

羽生「ごちゃごちゃした戦い。難しいと思ってずっとやってました」

 広瀬玉のポジションは盤上中央の5筋。その上部に羽生九段の駒が迫ってくる形で、形勢は次第に羽生ペースとなっていきました。

広瀬「一言でいえば作戦が大失敗で。9筋を攻められたり、4筋の歩を取れなかったりで」

 78手目。羽生九段は争点となっている4筋中段にガツンと銀を打ちます。羽生玉の上には銀が3枚。その先には相手の銀が1枚。合わせて銀が4枚、縦に並ぶ迫力ある形となりました。

羽生「ちょっとこちらも攻めが細いんで、うまく手がつながるかどうかの勝負かなと思って指していたんですが。けっこうずっと、微妙な局面かなと思っていました」

 82手目。羽生九段は角を切って銀と刺し違え、スパートをかけます。広瀬玉は一気に追い込まれ、形勢は羽生九段優勢へと推移していきました。

 99手目。広瀬八段は反撃の桂を打ち据えます。対して羽生九段は広瀬玉を追いながら、打たれた桂を抜いて盤石の態勢を築きました。

羽生「終盤で(106手目)△6八角と打って(4六の)桂馬を抜く筋が見えて、よくなったかなと」

 118手目。羽生九段が盤上中央に馬を出て王手をかけたところで、広瀬八段は投了。羽生九段の快勝となりました。

羽生「ずっと判断のつきかねる将棋だったんで、わからないままずっと指していた、というところです」

 羽生九段は一局をそう振り返っていましたが、衰えを見せぬ力で、指し盛りの広瀬八段を圧倒するところとなりました。両者の対戦成績は羽生21勝、広瀬15勝となりました。

 王将位通算12期、タイトル獲得総数99期の羽生九段。久々の王将戦七番勝負登場となるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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